地域や収入によって全然違う…「介護保険料」には“格差”がある

65歳以上の人が支払う1カ月あたりの保険料は、市区町村が3年に1度決定する保険料基準額に対して、所得の段階で設定されている割合を掛け合わせた金額です。つまり、住んでいる地域が同じでも、所得によって保険料が変わるということ。

[図表1]は、国が定めた所得ごとの保険料の標準的な段階で、9段階に分かれています。

※介護保険料の全国平均額(令和3年~令和5年)6014円から算出 出典:『図解とイラストでよくわかる 離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本』(角川SSCムック)より抜粋
[図表1]65歳以上の人の介護保険料は所得によって9段階に分かれる ※介護保険料の全国平均額(令和3年~令和5年)6014円から算出
出典:『図解とイラストでよくわかる 離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本』(角川SSCムック)より抜粋

また、この段階は、市区町村によって異なり、もっと細かく分けている市区町村も。たとえば、東京都新宿区では、16段階に分かれており基準額に対し0.25倍~3.7倍と負担割合が変わっています。

負担するのは子ども?親?…年齢によって「支払い方法」も異なる

介護保険料の金額と支払い方法は、65歳以上の人(第1号被保険者)と40歳以上65歳未満(第2号被保険者)は同じではありません。

子ども世代の第2号被保険者の場合、会社員なら毎月の給与や賞与から健康保険の保険料と一緒に天引きされ、自営業なら国民健康保険料と一緒に支払います。

親世代の65歳以上の人は、「特別徴収」と「普通徴収」の2つがあります。1年に受け取る年金額が18万円以上なら、年金からの天引きの特別徴収となり、年額18万円未満の人は市区町村から送られてくる納付書で支払う普通徴収となります。

※市区町村により異なります。出典:『図解とイラストでよくわかる 離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本』(角川SSCムック)より抜粋
[図表2]65歳以上の人が介護保険料を納める種類は2つ ※市区町村により異なります。出典:『図解とイラストでよくわかる 離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本』(角川SSCムック)より抜粋

【ポイント!】

普通徴収でうっかり未払いになっていたら大変! 親の介護保険料の支払い状況を確認しておきましょう

多くの人が、年金から引き落としされ、納付書で支払うということはあまりありません。ですが、保険料を滞納すると、延滞金の加算や介護サービス料の自己負担額が10割になる恐れもあります。あらかじめ親の介護保険料の支払い状況を確認しておくと安心です。

また、介護保険料は地域によって異なるため、離れて暮らす親を引き取る場合、介護保険料が高くなることも。たとえば、保険料が最も高い東京都青ヶ島村の9,800円と最も安い群馬県草津町の3,300円では、3倍近くも金額の差があります。

保険料が高くなると親の年金額もその分減ってしまうため、保険料の差額については、把握しておきましょう。

介護保険料を払わないと介護サービス料が高額に!

介護保険料を納付期限までに支払わないとその翌日から延滞金が加算されます。また、延滞期間に応じてペナルティがあり、場合によっては介護サービスを利用するときに、1~3割の自己負担を利用できないルールなので、注意が必要です。

後日申請により払い戻される場合もありますが、1年半以上延滞すると払い戻される分から滞納した保険料分が相殺されるため、その分介護サービス料が高くなります。

2年以上滞納すると、自己負担割合が引き上げられるなどの規定があり、費用がより高額になります。