介護施設の気になる「費用」と「入居制限」

公的施設は入居困難…民間施設が有力候補に

要介護度が高くなったり、一人暮らしが難しくなったりした場合、施設入居を考える必要があります。そこで悩むのは、介護施設選びです。在宅介護に比べ費用が高いため、安易に選んで費用を払いきれなくなることもあるからです。

介護施設や高齢者住宅は、「公的施設」と「民間施設」に区別できます。[図表1]に主な施設と料金の目安を紹介しています。

出典:『図解とイラストでよくわかる 離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本』(角川SSCムック)より抜粋
[図表1]老人向け介護施設の種類と費用の目安 出典:『図解とイラストでよくわかる 離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本』(角川SSCムック)より抜粋

比較的費用が安いのは公的施設です。代表的なものに「特別養護老人ホーム(特養)」や「ケアハウス」があります。入居時の一時金が必要ない施設や、月々の費用が割安な施設も多いです。

ただし、公的施設は費用が安い分、人気が高くいつも満杯で順番待ちです。

そもそも特養は要介護3以上でなければ入居できませんし、要介護度や家族がいないといった緊急度などによって入居者の優先順位が決められています。多くは民間施設を利用することになります。

安価な民間施設「サ高住」はサービス内容の見極めを

民間施設で代表的なのが、「有料老人ホーム」や「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」。民間施設で比較的安価なのがサ高住です。

サ高住は、安否確認や生活相談サービスを提供しているバリアフリー住宅で、個室が基本。食事の提供をしてくれます。自立から要介護の人まで幅広く入居が可能です。

一般的なサ高住では、介護が必要になった場合、訪問介護など外部の在宅介護サービスを個別で契約します。通常の賃貸契約と同様に、敷金として数十万円かかるところが多いですが、礼金、更新料は不要で、月額15万円程度の物件もあります。

一方、あまり数は多くありませんが「特定施設」の指定を受けているサ高住であれば、施設のスタッフから介護サービスを受けることができます。こちらは有料老人ホームと同様に、数百万円以上の入居一時金が必要なケースも。

要介護者でも入居可能なサ高住ですが、終の住処として考える際には注意が必要です。入居当初は安価でも要介護度が高くなるとその分費用が高くなり、経済的に苦しくなるといったトラブルや、介護体制が希薄なサ高住であれば退去せざるをえないこともあります。

このような場合には、特養への入居待ちをするか、介護付き有料老人ホームへの転居も選択肢に入れる必要も。

また、施設の質も玉石混交の状態です。安価な入居費用で手厚い介護や高度な医療措置に対応している物件もある一方、広告内容とは違う劣悪なサービスを提供しているところもあり注意が必要です。

家族のためにサ高住を選ぶ場合には、看護体制はどうなのかなど慎重な見極めが必要です。

※上記の介護保険の負担額は1割負担の概算金額。出典:『図解とイラストでよくわかる 離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本』(角川SSCムック)より抜粋
[図表2]比較的割安な特養・サ高住の費用の目安は? ※上記の介護保険の負担額は1割負担の概算金額。出典:『図解とイラストでよくわかる 離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本』(角川SSCムック)より抜粋
【ポイント!】

施設介護の費用は居住費がかかる分在宅介護より割高に。

安価な施設が理想ではありますが、介護・看護体制とのバランスが大切です