介護離職はせずに「辞めない介護」の道を探ろう

介護の主な担い手は配偶者…別居家族が介護する場合も

ある程度の年齢になると「もし自分の親が倒れたら……」という不安はつきものです。親が要介護認定を受けた場合には、たいていは体のどこかが不自由になり、判断力も下がっているため、日常生活を1人で送ることは難しくなります。

その際に在宅で介護をする人は誰なのでしょうか? 図表1を見ると、介護の担い手として最も多いのは同居の配偶者であることがわかります。

[図表1]介護人の属性(介護される人との関係) 出所:『離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本(角川SSCムック)』より抜粋
[図表1]介護人の属性(介護される人との関係)
出所:『離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本(角川SSCムック)』より抜粋

つまり、父や母が倒れたら、その連れ合いが面倒を見るのが一般的と言えます。また、子ども夫婦が同居している場合には、子ども夫婦が介護をサポートするケースも多く見られます。

その一方で、親の介護を別居の家族が担っている割合も約14%いるのも見逃せません。別居していると介護はできないと決めつけている人もいるかもしれませんが、必ずしもそうではないことがわかります。

介護のために離職すると精神的な負担が増すことも

年老いた親同士で介護をする老老介護は、体力的にも精神的にもとてもきついもの。子どものサポートが不可欠となります。

家族みんなで協力し合うことや、外部の手を借りるなど工夫しながら、子ども側からも介護に積極的に参加しましょう。親が1人になって子どもが介護役のメインになるときの準備になります。

親が在宅介護を希望している場合、仕事を辞めて介護に専念するべきと考える人もいるかもしれませんが、必ずしも得策とは言い切れません。介護離職した人の負担感の変化を見てみると(図表2参照)経済面での負担はもちろん、精神面や肉体面での負担も増したという結果が見られます。

[図表2]介護離職した人の負担感の変化 出所:『離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本(角川SSCムック)』より抜粋
[図表2]介護離職した人の負担感の変化
出所:『離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本(角川SSCムック)』より抜粋

介護離職をすると、経済的な不安感や社会生活と離れてしまった孤立から生まれるストレスなどが増えることもあります。働き方を工夫し、外部サービスをうまく利用しながら、「辞めない介護」を検討することを視野に入れましょう。

主な介護者は40~59歳で25%超いる

図表3は、介護をしている人の年齢の割合を男女別で示したものです。

[図表3]男女別「介護者の年齢割合」 出所:『離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本(角川SSCムック)』より抜粋
[図表3]男女別「介護者の年齢割合」
出所:『離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本(角川SSCムック)』より抜粋

このグラフを見ると、介護する側はもちろん高齢者が多く、男女ともに70歳以上が40%を超える割合を占めています。その一方で40~59歳の介護者は、男女ともに25%超えることも見逃せません。子ども世代が介護者のことも多いです。