年を重ねるにつれて視野に入れなければならないのが「親の介護」問題です。気が重く、ついつい先延ばしにしてしまいがちですが、親の介護は“突然”やってくるもの。そこで今回は、『図解とイラストでよくわかる 離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本』(角川SSCムック)から、介護が必要になったときの具体的な流れや金額を解説します。※本記事の情報は、抜粋元の書籍が刊行された2021年7月8日時点のものです。
親が突然入院!介護が必要なら「要介護認定」の申請を
長期間の入院は望めない…親が病気やケガになったら早めに始めたい「介護準備」
脳疾患や骨折などで入院しても、今どきの病院は病状が安定するとすぐに退院となります。そのため、身体にマヒが残るなどの自立生活が難しい状態でも、自宅で療養あるいは、リハビリ専門病院や介護老人保健施設(老健)への転院となります。
そこもそう長くはいられないので、退院後自宅に戻ってどう暮らしていくのか、介護の準備を始める必要があります。
まず、着手するのが要介護認定の申請です。親の住所地にある地域包括支援センターへ連絡する必要がありますが、本人が入院中の場合は、家族が代理で行えます。スムーズに申請の手続きを進めるためにも、親の住所地の地域包括支援センターがどこにあるのかを確認しておくといいでしょう。
要介護認定の「訪問調査」は、入院中の病院でも受けることができます。要介護度が決定したら、ケアマネジャーがケアプランを作成し、介護サービスを利用する流れになります。
介護準備が整わない場合は「短期入所」の施設を探す
利用退院後に身体のマヒなどで、リハビリが必要な場合は、リハビリ専門病院へ転院するのが1つの選択肢です。この施設は、治療や訓練に特化した身体機能回復を目指していて、疾患に応じて60日~180日の入院ができます。
介護老人保健施設(老健)は、慢性的に医療が必要な要介護1以上の人が、在宅復帰を目指すために、医師による管理のもと、看護・介護が受けられる施設です。
理学療法士や作業療法士によるリハビリ以外にも、食事、排せつ、入浴などの身体的介護も受けられ、3カ月ごとに入所継続か退所かの判定がされます。
1人暮らしで、子どもが離れて暮らしているなどの理由で、すぐに準備が整わないなら、老健やショートステイ(連続利用30日まで)の施設を利用して、その間に介護の準備を整えていく方法もあります。
1人暮らしの親の留守はどうする?
□新聞を止める
□冷蔵庫の中身やゴミの処分
□ガスは元栓を閉め、電化製品はコンセントを外す
□定期的に郵便物を取りに行く
□必要に応じて近所の人へ留守を伝える
1人暮らしの親が入院してしまうと、留守宅の管理が必要になります。留守をする期間に応じた対応をしましょう。たとえば、施錠管理などの防犯対策やガスの元栓のチェックなど火災にも気をつける必要があります。定期的に郵便を取りに行くのが難しいなら郵便局へ不在届を出しておきましょう。
角川SSCムック