「笑う門には福来たる」と昔からいうように、笑顔には幸運を引き寄せるパワーがあるようです。今回は、佐藤綾子氏の著書『人生がうまくいく笑顔の教科書 科学が証明する笑顔のパワー』(ごきげんビジネス出版)より、全仏オープンテニス女子ダブルスでの失敗を笑顔に変えてみせた、日本の加藤未唯選手の笑顔に関するエピソードをみていきましょう。
「退場させろ」誤ってボールガールにボールをぶつけて騒然となった試合会場
2023年6月、全仏オープンテニスの女子ダブルスでの出来事です。日本の加藤未唯選手とチェコのブズコワ選手は、3回戦で互角に戦っていました。
加藤選手は転がってきたボールを、ボールガールに手で渡さずにラケットでポンと返球したのです。ボールはあいにくボールガールの頭にあたりました。当然、彼女はビックリ。顔をおさえ、うずくまりました。
これを見ていたブズコワ選手が主審に向かって拳骨を握りしめ、強烈な怒りの表情で、「加藤選手を退場させろ」と叫んだのです。試合会場は騒然となりました。
「あの子は泣いているじゃないの。頬が真っ赤でしょう」と、ブズコワ選手の怒りの表情はますますひどくなります。彼女のものすごい形相を、テレビ越しでも鮮明に脳裏に焼きつける結果になってしまいました。
「笑顔」でみせた、加藤選手の誠意
一方、加藤選手はボールガールに走り寄って謝りました。
後日、ボールガールにプレゼントを贈り、2人でにこやかにツーショットを撮ります。SNSで拡散されると加藤選手へ賞賛の声が集まり、世界中が彼女のことを大好きになりました。
ウインブルトンテニスは紳士淑女の国であるイギリスの伝統ある試合です。たまたま事故を起こしたとしても、謝り方に誠意があり、明るい笑顔があればファンはきちんと理解して応援するという、とてもわかりやすい例です。
私たちも、失敗しても相手に丁寧に謝って、笑顔で仲直りしたいですね。
佐藤 綾子
株式会社国際パフォーマンス研究所 代表