世界的企業マクドナルド

あなたはマクドナルドが好きですか? 「マック食べる?」などと言いますが、考えたら会社名を言っていて、なんだかおかしいですね。

そんな理屈はともあれ、景気動向を調べるのに「マック指数」が使われています。ニューヨークでビックマックが2000円なのに日本では750円で、これは日本の物価が安すぎるのではないか、などという具合です。それだけ大きな世界企業なのです。

日本マクドナルドを救った笑顔の会見

私のもとへ、「謝罪会見」といったテーマで新聞やテレビの取材が時々あります。あるときは、日本マクドナルドのサラ・カサノバ社長について分析依頼が2回もありました。

1回目は、マクドナルドで青カビ入りのハンバーガーが次々見つかったときです。中には、ゴミが入っていたとか、本当かどうかは別として入れ歯が入っていたという騒ぎまで飛び交いました。さまざまな投稿がマスコミにSNS入り乱れ、マックの売り上げは一気に低下しました。

カサノバ社長は、ヨーロッパでもアメリカでも日本以外のアジアでも成功した人です。頭が切れて口も立つ彼女が英語で謝罪会見をしました。黒いスーツで、太い黒枠のメガネをかけ、あごを上にしゃくったまま、「私たちこそ本当の犠牲者です。青カビの肉を入れたのは中国ですから」と言いました。

会見は「I apologize(私は謝罪します)」という言葉ではじまりましたが、実際は謝っていない。微笑みも何もない。「何が悪いのですか」と言わんばかり。これには、日本人も世界の人々もブーイングでした。

「謝ったのか、それとも人のせいにしたのか、あれでは言い逃れ会見だ」と、私もテレビの取材を受けて同じことを言いました。その4か月後、またもや青カビ事件が発生し、彼女は2回目の記者会見をします。

高級ブランドの白いブラウスと地味なグレーのスーツを綺麗に着こなし、髪の毛を後ろで束ね、メガネの黒縁もなくしました。やさしい印象です。「I apologize」でやはり開始していますが、印象は別人のようです。

最後、深々と日本風のお辞儀をして、「今後は頑張るので、皆さま、マクドナルドを応援してください」と言って、口元をかすかに緩めて小さく笑顔で収めました。この笑顔をマスコミは写真で抜きました。

深いお辞儀と終わってからのニコリ。これが効いたのか、そのときのマックの新メニューが効いたのか、株価も売上も上がったのです。その後、大阪のお客相手に「頑張るで、マックをよろしく」と、関西弁でニッコリと笑顔が続きました。これで客足は完全に戻り、株価も上昇したのです。

笑顔は明らかに世界的な企業のビジネスを救ったのです。

佐藤 綾子
株式会社国際パフォーマンス研究所 代表