自由に使えるお金が多いと、贅沢しているつもりがなくても、知らず知らずのうちに生活水準が上がってしまうものです。特に“おひとりさま”であればなおさらのこと。そこで今回、石川亜希子AFPが59歳Aさんの事例をもとに、定年直前から年金受給開始までにできる「資産形成の方法」について解説します。
手取り月収35万円の59歳サラリーマン「76歳で破産」の未来に戦慄…定年直前に一念発起して、6年間で貯めた「驚きの貯金額」【FPが解説】
“独身貴族”のAさんだったが…急に老後が心配になったワケ
Aさん(59歳)は都内企業に勤務するサラリーマンで、年収は額面で720万円です。ボーナスの一部を貯金していたため、銀行口座には1,200万円ほどあります。
これまで結婚を考えたこともありましたが、結局縁がなくずっと独身です。いまはもう、収入を好きなように使える“おひとりさま”のほうが自由で気楽だと楽観的になっています。また、おしゃれで自宅のインテリアなどにもこだわりがあるAさんは、いまさら誰かと暮らすのも面倒に感じているようです。
毎月の手取りは35万円ほどですが、「あればあるだけ使う」という習慣が身についているAさん。家計簿をつけたことはなく、いつも「お金がない」と思ってはいるものの、切羽詰まっていないため理由を突き詰めて考えたことはありませんでした。
退職金も1,200万円ほどもらえる予定のため、「家族もいないし、老後の生活も問題ないだろう」と考えています。
そんなAさんですが、最近、老後の暮らしが少し気になってきました。
というのも先日、定年退職した独身の先輩Bさんと久しぶりに会ったときのことです。
ご飯に行くときはいつも気前よく奢ってくれていたBさんが「実はさ、お金がないんだよね」とこぼすのです。聞けば、サラリーマン時代とは雲泥の差の質素な生活ぶりで、アルバイトをして生活費を賄っているとのこと。結局、その日の飲み代はAさんが支払いました。
現役時代輝いていた先輩の現実を目の当たりにし、Aさんは、急に自分の老後が心配になってきました。急に自分の生活水準を下げられるとも思えません。
そこで、知り合いのファイナンシャルプランナーに相談してみることにしました。