FPに相談してわかった「76歳で破産」の未来

そこでAさんは、いきなり衝撃の事実を突きつけられました。なんと、いまの生活を続けていると76歳で貯金が底をつくことが判明したのです。

不安な気持ちはあったものの、頭のなかでは「悠々自適な老後」をイメージしていたAさんは、自身に「老後破産の危機」が迫っていることを知り真っ青になってしまいました。

とはいえ、年金生活になってもいまのままの支出スタイル(=あるだけ使う)を続けていれば、いずれ破産するのはいうまでもありません。

おひとりさまという良い響きだった今の生活が一転、“独居老人”、“老後貧困”、“孤独死”……そんな言葉がのしかかってきたようで、急に恐ろしくなってしまったAさん。

これを機会に一念発起して、遅まきながら資産形成を目指すことにしました。

“あればあるだけ使う”生活を変える…FPと行った「固定費の見直し」

まずはFPとともに、毎月の固定費の見直しを行いました。

Aさんの毎月の主な支出は以下のとおりです。

■家賃……12万円
■食費……7万円(外食を含む)
■光熱・水道費……1万5,000円
■通信……1万円
■保険……3万円
■車維持費……3万円
■日用品……1万円
■趣味……2万円
■使途不明……4万5,000円

■支出合計……35万円

気になるポイントはいくつかあります。まず食費です。食費に7万円というと、これは4人家族の食費といってもいいくらいの金額です。ほとんど外食で済ませていることからこの金額となっています。

もともと料理も嫌いではないというAさんは、今後は自炊の割合を増やし、食費は5万円に収め、飲み代もこの範囲を意識することにしました。

また、都内で暮らすAさんは、車を持ってはいるものの、休日や気分が乗ったとき以外あまり乗ることはありません。にもかかわらず、駐車場代もあって維持費が月に3万円かかっていました。相談のうえ、車は思い切って手放すことに決めました。

さらに、ほとんど通っていないジムも退会し、近所の公園をジョギングすることを決意。月に1万円ほどかかっていた動画や音楽などのいわゆるサブスクリプション代も、必要なものを厳選して減らすことにしました。付き合いで続けていた保険も見直します。

そして、「残っているお金はすべてお小遣い=使い切る」という認識を改め、「お小遣いは月に3万円」と意識することを決めました。