妻の妊娠を機に、マイホームの購入を検討しはじめた30代のA夫妻。郊外のベッドタウンで、新築の戸建てを購入しました。条件に見合った家が見つかり大満足の2人でしたが、1年後……なんと自宅を売却し、賃貸マンションへ引っ越せないか検討しているそうです。A夫妻にいったいなにがあったのか、ファイナンシャルプランナーの松田梓氏が、A夫妻の事例から「持ち家を検討する際の注意点」を解説します。
“新築・戸建てのマイホーム”に大満足のはずが、わずか1年で売却を検討…世帯年収1,000万円、30代共働き夫婦の「大誤算」【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

将来的にいまの物件に住む可能性があるなら、「賃貸に出す」のも選択肢

A夫妻には、今後もこの戸建てに住み続けるという選択肢もありますが、生活の基盤となる「衣食住」のひとつに不満が募ると、日々の満足度が下がってしまいます。A夫妻には、どのような選択肢があるのでしょうか?

 

1.思い切って戸建てを売却する

まずは、現在A夫妻が検討しているように、「売却する」という選択肢があるでしょう。A夫妻が購入した住居は築年数が1年と築浅のため、築古物件に比べると売却しやすく、新築のような新しさが買い手にとって大きな魅力のひとつとなります。

 

ただし、購入~売却までのトータルの手数料などを考えると、売り手であるお2人にとっては大きくマイナスになる可能性が高いことは否めません。

 

2.戸建てを賃貸で貸し出す

「せっかく買った戸建てを手放したくない」あるいは「いまではないけれど、将来的にはこの家に住むことも視野に入れている」といった場合には、売却ではなく賃貸として貸し出す選択肢もあります。

 

ただし、この場合税金などの負担がかかりますし、入居者が決まらない場合はローンの支払いが発生します。自宅の家賃と、この物件の住宅ローンと支払いが二重になる可能性があるため注意が必要です。

 

なお、「定期借家契約」として期間限定で貸し出すこともひとつの選択肢です。家賃を相場より安くする設定する必要はありますが、たとえば子どもが小さいときには賃貸に出しておき、小学校に入学するタイミングで戸建てに住む、ということも可能です。

 

いずれにしてもメリットとデメリットがありますので、人生で大きな買い物であるマイホーム購入の際は、ご自身のライフステージにあった選択肢、タイミングを慎重に見極めることが大切です。

 

 

松田 梓

株式会社FP STYLE

代表取締役/ファイナンシャルプランナー