世界各国で加速度的に進められている、AI開発やロボット開発。AI活用社会に向けて早急に考えなければいけないのが、IT・グローバル社会に適応できる子供たちの教育です。現在、「STEM教育」は世界各国で盛んにおこなわれていますが、日本は一足出遅れたと言わざるを得ません。そこで本記事では、日本におけるSTEM教育の現状の問題点と今後について解説します。
日本の未来を切り拓け!AI活用社会を生き抜く子供たちのための「STEM教育」 (※写真はイメージです/PIXTA)

※本稿は、テック系メディアサイト『iX+(イクタス)』からの転載記事です。

そもそも「STEM教育」とは?

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

STEM教育とは、理工学系分野の学習を総合的・横断的に学ばせる教育のこと。「STEM」は下記の頭文字を取った名称です。

 

Science(科学)
Technology(技術)
Engineering(工学)
Mathematics(数学)

 

それぞれの分野の垣根を越えて横断的に学ぶことが特徴のひとつに挙げられます。

 

「Science(科学)」は物理学や自然科学を含むもので、観察や実験を通してその法則性を見出す学問。データ解析などから問題の発見や解決能力を養います。

 

「Technology(技術)」は科学を利用したものづくりの学びです。プログラミングやソフトウェア開発履修により、未来のエンジニア不足の解消も期待されています。

 

「Engineering(工学)」は工業・産業における新製品や技術を研究する学問で、ロボット設計など実践的な学習が主体です。

 

「Mathematics(数学)」は数量を論理的に表したり使いこなしたりできる技術を習得します。

 

STEM教育はさまざまな社会問題と掛け合わせて枝分かれしているのも特徴です。たとえば「eSTEM教育」は、環境問題(Environmental education)を掛け合わせた教育です。異常気象などの自然環境からIT社会におけるネット環境まで、さまざまな観点から問題点を見つけて解決する力を育成します。

 

特に注目されているのが「ART(芸術)」と「Arts(教養)」の「A」を加えた「STEAM教育」でしょう。理工学系分野のSTEM教育に「創造性」や「デザイン性」を加味したものが「STEAM教育」。

 

AIには難しいとされる人間の創造性や感性を発達させることを目的としています。理工学系のスキルに人間の持つクリエイティブ性を加えることで、自由な発想や問題解決に向けた柔軟性も養われます。