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住宅ローン金利を左右する主な要因
2023年10月、アメリカの住宅ローン金利の平均値は7.5%を超え、23年ぶりの高水準に達しています。しかしこれはあくまで平均値であり、借り手が実際に支払う金利はもっと高かったり、低かったりします。
金利を上下させる代表的な要因は、日本でも重要視される勤め先(職歴)、用意できる頭金の額、連帯保証人の信用力、収入対する負債の比率、そして借り手自身の信用スコアです。信用スコアとして用いられる指標は複数ありますが、もっともメジャーなのがFICOスコアです。
FICOスコアは、消費者行動の分析ツールを提供するFair Isaac Corporation(フェアアイザック:通称「FICO」)社が開発した信用評価スコアです。連邦消費者金融保護局も、FICOスコアを基準に国民の信用力を分類するほどメジャーな指標で、金融機関もローン金利を検討する際に参照しているとされます。本記事では、FICOスコアの概要と、その算出方法をご紹介します。
「サブプライム」って、どれくらいの信用力?
FICOスコアは、個人の信用力を300から850の間で評価する指標で、高いほど信用力も高いとみなされます。全米平均は680ほどで、大多数の人のスコアは600から800の間に収まるようです。
消費者金融保護局は、FICOスコアに応じて国民の信用力をいくつかの層に区別しています。日本でも大きな話題となった「サブプライム問題」のサブプライムは、この区別の1つです。
FICOスコア720以上の人々は「スーパープライム」に分類され、優良な借り手とみなされます。また、720を超えると貸し倒れのリスクはほぼなくなるため、スコアの大小による借入条件の差もほとんどなくなるようです。
660~719の人々は「プライム」。スーパープライムには及ばないものの、信用リスクの小さい優良顧客とみなされます。ローン金利はわずかに高くなるものの、平均よりも有利な価格で借り入れできるケースがほとんどです。
620~659の人々は「ニアプライム」で、優良顧客予備軍と言ったところでしょうか。平均を下回るものの、大きな問題は抱えていない層で、金利は少々高くなりますが、借り入れはそれほど難しくありません。
580~619の人々が「サブプライム」です。このあたりから、明確にリスクありとみなされはじめ、借入条件も厳しいものとなります。
579未満の人々は「ディープサブプライム」と呼ばれ、信用リスクが極めて高いと判断されます。金利の有利不利以前に、借り入れ自体ができないということも珍しくありません。
FICOスコア算出に使われるデータ
FICOスコアの詳しい計算式は明らかにされていませんが、以下の要素をもとに算出されています。()内の%が大きいほど、スコアへの影響度が大きい項目です。
支払い履歴(35%)
クレジットカードやローンの過去の支払い履歴です。支払いを期限以内にしているか、遅れた場合は何日遅れたか、などを参照しています。長期間の遅れがある場合や、遅れが常習化している場合、スコアが低下します。
借り入れ残高(30%)
借り入れ総額も評価基準になります。大きな金額を借りると即FICOスコアが低くなる、という単純なアルゴリズムではないため、たまの大きな買い物で一時的に借り入れが増えても問題ありません。
スコアに影響しやすいのは、複数のカードで同時に大きな借り入れをしたり、限度額いっぱいまで利用したりしてしまったときです。これらのケースは、支出が支払い能力を超えているとみなされ、スコアが下がることがあります。
反対に、借り入れ総額が減少傾向にある場合は、スコア回復につながります。
ヒストリー期間(15%)
毎月期日前に支払い続けると、無理のない返済計画を実行できる人間だとみなされ、スコアが上昇します。ただし、支払い遅れのスコア低下効果に比べれば、ヒストリーが伸びたことによるスコア上昇効果はそれほど高くありません。FICOスコアは、問題のある借り手をあぶり出しリスク管理に役立てるための指標ですから、基本的には減点方式なのです。
新規のクレジットカードの発行(10%)
新しくクレジットカードを作るとスコアが下がることがあります。特に短い期間の間にいくつもカードを作ったり、分割払いを申し込んだりすると、借り入れを他の返済に回す自転車操業状態にあるのではと疑われ、高リスク判定されます。
クレジットの種類と組み合わせ(10%)
クレジットカード、分割払い(小売店や保険)、消費者ローン、住宅ローンなどのうち、どの借金を利用しているかも評価基準となることがあります。特定の組み合わせに高リスクな借り手が多い場合、同様の借り入れ傾向があるとスコアが下がります。
日本に住んでいると、米国でローンを組む機会はそうないでしょう。ただ、信用スコア算出の仕組みを知っておいて損はありません。特に不動産を運用される方であれば、買い手や賃借人が信用に足る人物か見極める際のヒントくらいにはなるかもしれません。