「老後資金2,000万円」預貯金だけで保有すると16年で枯渇?
仕事をリタイアし、年金だけで暮らすようになれば、頼りは今まで蓄えてきた資産が虎の子です。自分が準備してきた老後資金が十分か否かは、寿命によって左右されます。想定以上に長生きすれば老後資金が不足してしまいますが、「いつまで生きるか」は誰にもわかりません。
令和4年(2022年)の「簡易生命表」によれば、男性の平均寿命は81.05歳、女性は87.09歳です。また、65歳時点の平均余命を見てみると、男性は19.44歳、女性は24.30歳です。仮に2,000万円の老後資金があったとして、その資産はいつまでもつと思いますか?
[図表3]をご覧ください。これは、2,000万円を毎月10万円取り崩した場合のシミュレーションです。まったく運用せずに取り崩しをすれば、約16年で資金が底をついてしまいます。
資産寿命が16年しかないということは、仮に65歳から取り崩した場合、平均余命分も資金が持たない可能性が高くなります。
運用次第で資産寿命が延びる
そこで、次に、運用した場合を見てみましょう。グラフでは、資産を「先進国の債券約5割」と「先進国の株式約5割」で運用したケースで比較しています。この場合、過去の実績によればリターンは年約6%で、50%の確率で47年11ヵ月まで資産寿命が延びる計算になります。
もちろん、市場の変化によって資産寿命は長くなることも短くなることも想定されます。しかし、90%の確率で31年3ヵ月まで資産がもつ可能性があり、運用しなかった場合と比較すれば、資産寿命を約2倍に延ばす可能性が期待できます。このように、運用する・しないで資産寿命は大きく変化するのです。
藤川 太
ファイナンシャルプランナー
CFP認定者
生活デザイン株式会社 代表取締役