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イスラエル国内のガス需要の70%を担っていたガス田が操業停止に
天然ガスの価格は、ここのところ落ち着きつつありました。国際的な高騰をリードしていたヨーロッパの天然ガス価格は、2022年8月下旬に過去最高値を記録して以来徐々に低下。23年7月時点でピーク時の約7分の1、ロシアによるウクライナ侵攻前の水準まで下がっていました。
これは、ロシアへの経済制裁により逼迫していた天然ガスの供給が、米国やカタールなどの他地域からの輸入ルートが確保できたことによるものでしたが、ここへ来て新たな懸念が発生しています。
23年10月7日、パレスチナ暫定自治区であるガザ地区を実効支配するハマスがイスラエルへの攻撃を開始。これを受けイスラエル政府は、ガザ地区からロケット弾の射程圏内にあるタマル・ガス田の操業停止を決定したのです。
国際的なガス供給網に混乱が生じるリスク
タマル・ガス田は、イスラエル国内の発電エネルギーの約70%を担ってきたため、単に操業停止するだけでは国民生活に大きな影響が及びます。代替供給源となるのは、同じくイスラエル国内にあるリバイアサン・ガス田です。リバイアサン・ガス田はタマル・ガス田よりも規模が大きいため、イスラエル国内需要を問題なくカバーできますが、その分、輸出に回るガスの量が減ります。
イスラエル周辺の国々の多くはガス供給を同国からの輸入に頼っており、特にヨルダンは依存度が高いと言われています。操業停止が長期化すれば、遠方からのガス輸入も視野に入れる必要があります。
さらに、イスラエル情勢とは無関係のところで、10月8日にフィンランド・エストニア間のガスパイプラインがガス漏れの疑いで操業停止を発表し、10月10日にオーストラリアの液化天然ガス生産施設でストライキがはじまるなど、世界のガス需要を脅かすニュースが立て続けに舞い込んでいます。
北半球が本格的な冬を迎えると、ガス需要はさらに増します。世界的なガス価格高騰(≒電気代高騰)が再び起こるのか、緊張感が高まっています。