42歳貯蓄ゼロ…いまから資産形成は手遅れ?
そんなかおりさんですが、同窓会で昔の友人と会い、自分の将来、特に老後に不安を感じるようになりました。かおりさんは、女子大出身。同窓会で20年振りに友人たちと再会できることを楽しみに出席しましたが、「大人」になったかつての友人たちの話に危機感を募らせました。
よく一緒に遊んでいた5人のうち、おひとりさまはかおりさんのほか1人。1人はバツイチで子ども2人を抱えるシングルマザー、1人は社内女性初の役職者として期待されるキャリア女性。残り2人は専業主婦ですが、子どものお受験話で盛り上がっていたそうです。
「何かいつまでも学生気分でいるのは私だけで、みんな大人になっていて取り残されたような気持ちになりました」とそのときのショックをかおりさんはファイナンシャルプランナーの筆者に伝えました。
42歳貯蓄ゼロでこれからの未来に絶望するかおりさん。「家族からは浪費だ」と言われる推し活は辞められないとのことですが、今から老後に向けて資産形成していくには、いったい何をしたらいいのでしょうか?
まずは「目に見えない資産」を確認
筆者はまずはねんきん定期便で「目に見えない資産」を確認するところから始めました。
かおりさんは、これまでの年金加入歴より現時点で老齢年金は86万1,000円が約束されていることがわかります。そして今後会社員を継続することにより、この年金は基礎年金、厚生年金ともに増やしていくことができます。
たとえば今後60歳まで年収600万円で継続して働くと、厚生年金が59.4万円(600万円×0.55%×18年 老齢厚生年金簡易計算法により計算)増額の106万円、また基礎年金は満額を80万円と仮定すると合計186万円の年金が受け取れる試算になります。
やはり正社員としてこれまで頑張ってきたので、それなりに将来の年金が受けられるのは大きなメリットだと思います。さらに長く働くことや受給繰下げをすることで月23万円くらいの年金は確保できそうです。この金額は、将来認知症等によりグループホーム等に入居する費用として目安となるものです。
独身の方は、もしかしたらこれから結婚するかもしれないと、ライフプランが描けない理由にしがちですが、どんな方であろうともまずはご自身が経済的に自立することを考えるべきです。自立していれば、将来的に結婚してもしなくても、経済的な不安を抱えずに暮らすことができます。
従って、まずかおりさんには改めてご自身の人生を支える基盤が働くことであるということをご認識いただき、収入を維持しながらできるだけ長く働くことを決心していただきました。