膿疱性乾癬(GPP)患者さんの声
Q1.発症から診断に至るまでの経緯を教えてください。
最初におかしいなと思ったのは2019年頃です。
その頃からアトピーで1ヵ月に1回は皮膚科に通っていたのですが、突然、腕に半円を描くような発疹が出てきました。あまり見慣れない発疹だったので、その日のうちに先生に診ていただきました。
そのときは、とびひという診断を受け、1ヵ月ほどとびひの治療をしていたものの、よくならならず、発疹はどんどん広がっていました。痛みもひどく、検査をしても原因菌が検出されないということで、1ヵ月後に総合病院に紹介されました。
総合病院の検査でも、疑わしい病気として膿疱性乾癬という病名は出ていましたが、皮膚生検でも診断がつかず、とびひの治療を続けていました。
4月に発症したあとは、6月に症状が悪化し、そのときに服用したステロイドで発疹が消えたので、免疫系の病気だということだけはわかりました。でも、それでも確定診断には至らずに、治療しながら、さまざまな疑わしい病気の検査をしている状態でした。
7月末にはもう日常生活がままならないくらい悪化しており、その場で即入院してください、と先生にいわれ、そのまま入院になりました。
Q2.GPPで特につらかったのはどのような症状ですか。
とにかく一番つらかったのは、皮膚の痛みです。皮膚が剥がれてくるような状態になり、最初は部分的だったものがだんだん面になってきました。ただそれだけですごく痛くて、どこを下にして寝てもとにかく痛いのです。滲出液がつかないようガーゼで覆うのですが、それだけではカバーしきれず、服やあちこちに滲出液がついてしまうのです。
それが固まってしまうと、ちょっと動いただけでもびりっと剥がれるような痛みがでて、本当に少しも体が動かせないのです。とにかく痛みで何もできない、というのが一番つらかったです。
あとは、発熱によるだるさに加えて、目や鼻にも症状が出ました。
目は結膜炎のような症状が出て、鼻は副鼻腔炎のようになって嫌なにおいがするようになりました。五感すべてが嫌で、そのときには周りの人にも本当につらい状態だと話していました。
Q3.GPPと診断されたときの心境をお聞かせください。
正直、“心からほっとした”というのが一番でした。それまで、自分が何の病気なのか、診断名もはっきりしていませんでしたし、治療も思うようにいっていなかったため、これで何かよくなる方法が見つかるかもしれない、薬が変わって病気がよくなるかもしれない、という希望が出て、安心したという気持ちが大きかったです。
診断がついてからも、状態がよくなるまでは数ヵ月かかりました。毎日がっかりするのが嫌で、期待や希望を持つのはやめて、ただ薬を続ける日々でした。
ですが、先生方が本当に一生懸命対応してくださり、「大丈夫だよ」と励ましてくれました。治療がうまくいかず、不安や心細さがすごく大きいなかでは、先生方のそういった励ましがすごくありがたかったです。
Q4.GPPはご自身にとってどのような病気ですか。
私にとっては、まだトラウマになっているような病気です。いまのような、生物学的製剤が出てからは、症状をコントロールできたり、症状が和らいで日常生活に戻れたり、そういった病気になってきたとは思うのですが、コントロールが効かないときの成す術がなくなる感じ、急性症状の強さは、やはり怖いです。
Q5.日常生活ではどのようなことに気をつけていますか
私は保育士なのですが、抱っこやおんぶとなると、関節がきついところがあります。また、とにかく汗をかくので悪化しやすいのもあるのですが、一番苦労しているのは感染症です。
免疫力を下げる薬を飲んでいるため、感染症に罹りやすい状態なのですが、職場である保育園は感染症が流行りやすい場所でもあります。それでも子どもと接触しない、というのは無理なので、常に感染症に気をつける、ということが一番大変です。
服装は、こすれる部分に皮疹が出やすいので、肌に当たる部分はつるっとした素材を使った服にしたり、風通しのいい服を選ぶようにしたりしています。
また、歩数に比例して関節が痛くなりやすいので、外出したときは歩きすぎてしまわないように気をつけています。
Q5.現在はGPPとどのように向き合われていますか。また、今後の希望を教えてください。
膿疱性乾癬は、自分に合う治療にきちんとたどり着ければ、日常生活に戻れる病気になりつつあると思います。
私自身、いまの状態は100点とはいえず、だるさや皮疹など、体調に多少のアップダウンはありますが、日常生活ができる程度には症状は落ち着いていて、再燃というほどの大きなぶり返しはありません。
症状が出始めたころは関節がすごく痛かったのですが、いまは、節々に違和感が出る日はあっても、痛いというほどではなくなりました。
ただ、いまは好きな靴を履くことができません。私の場合、靴の擦れは関節炎のきっかけになりやすいので、今後の希望としては、好きな靴を履いて好きな距離だけ歩けるようになったらうれしいな、と思っています。