女性労働者が職場で「妊娠」をきっかけに「マタハラ」を受けるケースがあります。また、男性労働者も、育休を取得しようとして却下されるケースがあります。これらは法的にどのような問題があり、どう対処すればよいのでしょうか。自身も1児の母であり、出産・子育てに関わる法律問題に詳しい弁護士・高橋麻理氏の著書『子育て六法』(日東書院本社)より、一部抜粋してご紹介します。
女性が職場で「マタハラ」を受けたら…男性が「育休申請」を却下されたら…どうすればいい?弁護士が教える法的知識と「対処方法」 (※写真はイメージです/PIXTA)

男性の育休申請が「却下」されたらどう対応すべきか

男性の場合、「マタハラ」ではありませんが、育休を取得しにくい実態があります。「前例がない」という理由で却下されたという話もよく聞きます。

 

しかし、「育児・介護休業法」では、労働者は男女問わず、育休をとることができると定められています。また、育休とは別に、出生直後に「産後パパ育休」をとることも認められています([図表]参照)。

 

※厚生労働省「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」より引用して編集。詳しくは厚生労働省ホームページをご覧ください。https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000789715.pdf
[図表]育児休業制度について ※厚生労働省「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」より引用して編集

 

さらに、事業主は、労働者本人または配偶者が妊娠または出産したことを申し出たときは、育児休業に関する制度などを知らせたり、それに関わる意向を確認するための面談などの措置を取らなければならず、かつ、申出を理由に事業者が労働者に対して解雇その他の不利益な取扱いをしてはならないと定められています。

 

加えて、事業主は育児休業に関する研修の実施、相談体制の整備等のいずれかの措置を講じなければならないとされています。

 

でも、育児休業取得者の割合は、女性約85%に対し、男性は約14%。まだ男性の育休が浸透しているとは言い難く、「前例がない」会社も多いのは事実です。

 

※ 令和元年(2019年)10 月1日から令和2年(2020年)9月30 日までの1年間に在職中に出産した女性(男性の場合は配偶者が出産した男性)のうち、令和3年(2021年)10 月1日までに育児休業を開始した者(育児休業の申出をしている者を含む)の割合。

 

正しい法律の知識がないままに上司が却下している可能性もあるので、人事担当者に相談してください。それでも解決しなければ、各都道府県労働局、全国の労働基準監督署内などに設置されている総合労働相談コーナーや弁護士への相談も考えてみてください。

 

 

高橋 麻理

弁護士法人Authense法律事務所

弁護士