◆「支給率」の早見表
【図表2】は、減額後の給料の何%を受給できるか(支給率)を「低下率」ごとにまとめた「支給率」の早見表です。
◆「最低限度額」と「支給限度額」
ただし、支給額には「最低限度額」と「支給限度額」があります。
上記の計算結果が「最低限度額」を超えない場合は、高年齢雇用継続給付は支給されません。また、賃金の額が「支給限度額」以上である場合は、高年齢雇用継続給付は支給されません。
「最低限度額」と「支給限度額」は、「毎月勤労統計」の平均定期給与額により毎年8月1日に改定されます。2023年6月現在、最低限度額は2,196円、支給限度額は37万452円です。
「高年齢雇用継続基本給付金」の受給手続き
高年齢雇用継続基本給付金を受給するには、原則として2ヵ月に1回、事業主を介して、事業所を管轄するハローワークへの申請が必要です。
初回分の受給手続きは以下の通りです。2回目以降は、受給資格確認の手続きは不要です。
【初回分の受給手続き】
1. (本人→事業主)受給資格確認票・支給申請書の記入・提出
2. (事業主→ハローワーク)受給資格確認票・支給申請書・賃金証明書の提出
3. (ハローワーク→事業主)受給資格確認通知書・支給決定通知書・2回目分支給申請書交付
4. (事業主→本人)受給資格確認通知書・支給決定通知書・2回目分支給申請書交付
5. (ハローワーク→本人)給付金の支給(口座振込)
60歳以降、働きながら老齢厚生年金を受給する場合の注意点
最後に、60歳から年金を受給する以下の2つのケースにおける注意点をお伝えします。
・繰り上げ受給
・特別受給の老齢厚生年金
これらの場合は、以下の通り、給料の「低下率」に応じて、老齢厚生年金の受給額が減額されます。
・給料の低下率61%以下:老齢厚生年金が6%減額
・給料の低下率61%超~75%未満:老齢厚生年金が5.48%~0.35%減額
この場合の「低下率」は、「標準報酬月額」を使って以下の式で算出される額です。
働きながら老齢厚生年金を受け取るのであれば、収入減はそれでカバーできるだろう、ということで、受給調整が行われるのです。
特別支給の老齢厚生年金はともかく、「繰り下げ受給」を選ぶと、65歳から年金受給開始するよりも年金の額が下がるのに加え、さらに年金が減額されることになります。したがって、定年以降も働くのであれば、可能な限り繰り上げ受給は避け、年金の受給開始は65歳にして、給料の減額分を高年齢雇用継続基本給付金等でカバーするほうがいいかもしれません。