身体に障がいをもつ人をサポートするテクノロジーは昨今、目覚ましい進化を遂げています。最も求められているのは、スマホやパソコンの操作、移動、会話など、日常的な場面の負担軽減です。本記事では、日常の動作や行動をスムーズにするデジタルデバイスにスポットを当て紹介します。※本稿は、テック系メディアサイト『iX+(イクタス)』からの転載記事です。
障がい者の日常を支えるデジタルデバイスが進化。より直感的な「認識」「操作」が可能に (※写真はイメージです/PIXTA)

聴覚障がい者の日常生活をサポートする最新技術

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

聴覚障がいの症状は1人1人異なるのをご存じでしょうか。

 

音が全く聞こえない人もいれば、1人の話は聞き取れるけど、会議のような複数人のやりとりは聞こえにくい人など、さまざまです。症状にかかわらず、人が集まるシチュエーションでは不便や孤独を感じやすい傾向にあります。

 

耳の不自由な人をサポートするテクノロジーを見ていきましょう。

 

複数人の会話を視覚化し、会議などの参加をスムーズにする「VUEVO(ビューボ)」

音声をテキスト化するサービスの多くは「高性能マイクを搭載しているが故に、外部の騒音までも拾ってしまう」という欠点がありました。複数名が同時に話すとテキスト化できないという問題が生じます。

 

複数名が代わる代わる発言する、会議などのシーンに特化したデバイスとして登場したのが「VUEVO」です。ボディは直径約8センチ、高さ約2センチの円柱形で、一見するとポータブルスピーカーのような形状です。

 

この片手に収まるほどの小さな本体には8つのマイクが内蔵されており、声が聞こえる位置や声質から音声情報を聞き分け、複数名の発言をそれぞれ色分けしてテキスト化します。発言のタイミングが重なっても問題なく全て文字にすることが可能です。

 

どの人がどのコメントをしたか直感的に理解できるよう、音声が聞こえる方角に応じてテキストの表示位置が変わり、会議のスピードについていけるよう意匠が凝らされています。

音のリズムやパターンを、光と振動で伝える「Ontenna(オンテナ)」

「Ontenna」は全長6.5センチ、厚さ1.5センチのヘアクリップのような形状をしています。髪の毛や耳たぶ、洋服のえりもとなどに装着すると、音の特徴を光の強弱や振動でユーザーに伝えます。

 

光の明暗でリズムを表現し、激しい音は強く、やさしい音は弱く振動します。手話や文章では伝えきれないリズムやパターンを、直感的に体験することができます。

 

「Ontenna(オンテナ)」を活用することで、耳の不自由な人と健聴者が合奏したり、スポーツ観戦で会場にいる人たちと一体となって応援したり、音楽を通じたコミュニケーションの幅が広がります。音を「伝える」のではく、「楽しむ」ことができる新時代のデバイスです。