身体に障がいをもつ人をサポートするテクノロジーは昨今、目覚ましい進化を遂げています。最も求められているのは、スマホやパソコンの操作、移動、会話など、日常的な場面の負担軽減です。本記事では、日常の動作や行動をスムーズにするデジタルデバイスにスポットを当て紹介します。※本稿は、テック系メディアサイト『iX+(イクタス)』からの転載記事です。
障がい者の日常を支えるデジタルデバイスが進化。より直感的な「認識」「操作」が可能に (※写真はイメージです/PIXTA)

視覚障がい者の生活を手助けするさまざまなサービス

ウェブテキストを即座に点字化できる!「Dot Pad」

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

昨今は、音声情報をテキスト化したり、テキストを音声化したりするサービスが増えています。

 

一方で、視覚や聴覚ではなく、触覚で情報を伝えるデジタルデバイスが登場しました。オンライン上のテキストを即、点字翻訳できる「Dot Pad」です。

 

「Dot Pad」は大型のタブレットのように平らな、一枚板の形状をしています。中央のディスプレイには先端に白い球体のついた2,400本の、極小のピンが、規則正しく並んでいます。

 

搭載されているAIクラウドテクノロジーが、文字情報を点字デザインに変換すると、必要なピンが垂直に盛り上がり、点字が浮かび上がってくるシステムです。さらに、文字情報のほかグラフや図形、画像なども、ピンの凹凸で表現され、表面をなぞると認識することができます。

 

たとえば、ある写真を、2,400本のピンの凹凸で表現するのは難しいですよね? AIはまず写真データを解析し「ここに写っているのは人間だ」と判断すると、人間の輪郭を強調した点描デザインを考案。それに基づいてピンが浮かび上がります。

 

ユーザーが触覚で認識するために、最適な工夫ができる「Dot Pad」は、教育やビジネスなどさまざまなシーンでの活用が期待されます。

 

ビデオ通話で視覚障がい者の「目」になるアプリ「Be My Eyes」

1人でできることを増やすテクノロジーが求められる一方、障がい者とサポーターとのコミュニケーションを促進する、ユニークなITサービスが脚光を浴びています。

 

2015年にデンマークでローンチされた無料アプリ「Be My Eyes」です。専任のボランティアスタッフが、目の不自由な人の「目」となり、代わりにものを見るサービスです。

 

たとえば「牛乳の賞味期限が知りたい」「駅のホームの案内板に書かれていることを知りたい」――など、今すぐ見たいものに遭遇したら、まずアプリにアクセス。

 

その時に対応できるボランティアスタッフがマッチングされ、すぐさまビデオ通話が開始されます。カメラを介して、文字情報を読み上げてくれたり、状況を説明してくれたりします。

 

絵や彫刻といった芸術作品のように、人によって感じ方が異なるものも伝えてくれるのがこのサービスの面白いところ。わたしたちにコミュニケーションの喜びを教えてくれるこのアプリは、Appleが優れたアプリを表彰する「Apple Design Awards」のソーシャルインパクト部門を2021年に受賞しました。