視覚障がい者の生活を手助けするさまざまなサービス
ウェブテキストを即座に点字化できる!「Dot Pad」
昨今は、音声情報をテキスト化したり、テキストを音声化したりするサービスが増えています。
一方で、視覚や聴覚ではなく、触覚で情報を伝えるデジタルデバイスが登場しました。オンライン上のテキストを即、点字翻訳できる「Dot Pad」です。
「Dot Pad」は大型のタブレットのように平らな、一枚板の形状をしています。中央のディスプレイには先端に白い球体のついた2,400本の、極小のピンが、規則正しく並んでいます。
搭載されているAIクラウドテクノロジーが、文字情報を点字デザインに変換すると、必要なピンが垂直に盛り上がり、点字が浮かび上がってくるシステムです。さらに、文字情報のほかグラフや図形、画像なども、ピンの凹凸で表現され、表面をなぞると認識することができます。
たとえば、ある写真を、2,400本のピンの凹凸で表現するのは難しいですよね? AIはまず写真データを解析し「ここに写っているのは人間だ」と判断すると、人間の輪郭を強調した点描デザインを考案。それに基づいてピンが浮かび上がります。
ユーザーが触覚で認識するために、最適な工夫ができる「Dot Pad」は、教育やビジネスなどさまざまなシーンでの活用が期待されます。
ビデオ通話で視覚障がい者の「目」になるアプリ「Be My Eyes」
1人でできることを増やすテクノロジーが求められる一方、障がい者とサポーターとのコミュニケーションを促進する、ユニークなITサービスが脚光を浴びています。
2015年にデンマークでローンチされた無料アプリ「Be My Eyes」です。専任のボランティアスタッフが、目の不自由な人の「目」となり、代わりにものを見るサービスです。
たとえば「牛乳の賞味期限が知りたい」「駅のホームの案内板に書かれていることを知りたい」――など、今すぐ見たいものに遭遇したら、まずアプリにアクセス。
その時に対応できるボランティアスタッフがマッチングされ、すぐさまビデオ通話が開始されます。カメラを介して、文字情報を読み上げてくれたり、状況を説明してくれたりします。
絵や彫刻といった芸術作品のように、人によって感じ方が異なるものも伝えてくれるのがこのサービスの面白いところ。わたしたちにコミュニケーションの喜びを教えてくれるこのアプリは、Appleが優れたアプリを表彰する「Apple Design Awards」のソーシャルインパクト部門を2021年に受賞しました。