アメリカの航空業界では「フライトキャンセル問題」が勃発しています。問題の背景には、コロナ禍明けの人手不足がありました。みていきましょう。

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1週間で約8,500便がキャンセルに

2023年の6月最終週、アメリカ離発着のフライトで大量のキャンセルと遅延が発生しました。航空運行状況を提供するFlightAwareによると、6月24日土曜日以降1週間で約8,500便がキャンセルとなり、約5万便が遅延しましたが、混乱は収束に向かっています。執筆時点(7月3日)の1日の米国離発着便のキャンセル数は77便、遅延は352便です。

 

この問題は、米国北東部から中部におよぶ巨大な嵐の影響に加え、FAA(連邦航空局:航空管制官を管轄する)や各航空会社の人員不足が重なり深刻化しました。天候が回復したことで状況は改善しつつありますが、人員不足は解消されておらず、FAAと航空会社はこの問題に対処しなくてはなりません。

特に深刻な問題を抱えるユナイテッド航空

特に人員不足が深刻なのはユナイテッド航空で、今回のキャンセル多発問題でも全体の3分の1以上が同社の便でした。

 

ユナイテッド航空のCEOであるスコット・カービー氏は、問題を社外に求め、「FAAは率直に言って、今週末我々を失望させた」「ほぼ間違いなくFAAの人員不足/経験の低下を反映している」という社内向けに発信しましたが、社員たちはこの説明に納得していません。

 

労働組合は経営陣に対し批判的な考えを持っており、パイロット組合の部門長のガース・トンプソン機長は「今週のユナイテッド航空の旅行障害は、ある原因から生じている。同社の経営陣の計画が不十分で、航空インフラへの投資が不十分だった」と発言。客室乗務員組合の会長サラ・ネルソン氏も「ユナイテッドは、現在起きているこの混乱を避けるために、1年以上前から計画を立てることができたはずだ」と述べ、会社の責任を追求しています。

 

パイロット組合と客室乗務員組合はいずれも、パンデミック後初の昇給を求めてユナイテッド航空と交渉中で、組合員たちは給与も人員確保の妨げになっていると考えているようです。

 

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本記事は、富裕層のためのウェブマガジン「賢者の投資術」(Powerd by OPEN HOUSE)にて公開されたコラムを、GGO編集部にて再編集したものです。