家電であふれる現代の住宅は、リモコンだらけ、配線だらけになりがちです。しかし、「スマートホームサービス」を導入すれば、手元のスマートフォンやスマートスピーカーで一括操作できるようになります。現在、スマートホーム事業には多くの企業が参入しており、2030年度には1120万戸に増加すると予測されています。住宅のスマート化がもたらす生活の変化や対策が急務とされるセキュリティ課題について解説します。
家中の家電を1つにつなぐ「スマートホーム」、市場規模は2030年に“2倍” (※写真はイメージです/PIXTA)

外出先からも「アプリ1つ」で家電を一括操作

従来、外出先で住宅内の電気機器をスマホで操作するには、それぞれのメーカー専用のアプリが必要でした。各家電を動かすためにたくさんのアプリを立ち上げるのは面倒で、スマートホームの普及を妨げる要因にもなっていました。

 

しかし、ホームタクトでは、自社サービスの機能の一定の条件を満たす外部企業にAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を開放することで、連携メーカーの機器を一括で操作することが可能となっています。

 

ホームタクトアプリ画像

 

三菱地所の住宅業務企画部、橘嘉宏(たちばな よしひろ)統括は、「デベロッパーがスマートホームを主導して展開するのは日本では初めてだ」と強調。「不動産会社がさまざまな電機メーカーと連携することにより、利用者が機能や料金面で最も適切な家電を選んでカスタマイズすることができる」とこのサービスのメリットを説明しています。

 

通常、電機メーカーなどが運営するスマートホームでは、自社製品で家電を統一することが多く、その分、各家電の相性が良いという利点がある一方で、利用者の家電選択の幅が狭まるというデメリットもあるのです。

働き社会加速の中、家庭の負荷を軽減

スマートホームのメリットの1つは、日常のさまざまな仕事の時間を短縮できることです。忙しい朝の家事を自動化したり、掃除をロボットに任せたりすることで日常生活の細かな負荷を軽減できます。

 

総務省統計局や厚生労働省などのデータによると、国内の共働き世帯は2021年に1980年の2倍超となる約1200万世帯に増加しています。少子化を背景とした生産年齢人口の減少も加速しており、共働きの傾向はさらに強まる見通しです。スマートホームの普及は、忙しくなる一方の家庭の負荷を減らし、仕事と余暇の両立に貢献することが期待されています。

 

スマートホームが普及すれば、住宅の省エネ化や温暖化対策も進みます。エアコンの時間設定や温度調整、人感センサーや日照センサーで家電や家具の制御などが可能になり、無駄なエネルギーを消費しづらくなるためです。人がいない時には、玄関や部屋の照明、エアコン、テレビなどを自動的にオフにする設定が可能です。スマートロックやスマートセンサーなどを活用することで、鍵の閉め忘れを防止したり、不審者をセンサーが検知してスマホに異常を知らせてくれたりもします。