NISAやiDeCoなどが広まったことで「投資」という言葉を耳にする機会が増えました。しかし、投資にはリスクが伴うため、不安を抱く人も多いのではないでしょうか。そこで本連載では、投資アドバイザーの若林史江氏による著書『証券口座の開き方から教えます! 投資の学校1年生1学期』(宝島社)から、投資の初心者が知っておくべき「基礎知識」について、一部抜粋して紹介します。
【金(ゴールド)が値上がりする4つの要因】やはりハイリスクな金融商品である理由 (※写真はイメージです/PIXTA)

戦争や経済ショックにも強い金融商品「金」

◆株式はリスクがあり、国債は利益が少ない

投資のリスクが怖いという人は銀行の定期預金にしておいても構わないのですが、0.01%程度の超低金利の中では、お金を預けておいてもほとんど増えることはありません。

 

また、同じく安全な資産といわれている国債なども、やはり大きくお金を増やせる金融商品ではありません。

 

しかし株式などに投資していると、どうしても予期せぬリスクを避けられないことがあります。

 

コロナ・ショックやロシアによるウクライナへの侵攻、また東日本大震災のときのような天災などがあると、株式のような金融商品は価格が暴落します。そういうリスクが怖いという人におすすめなのが、金(ゴールド)です。

 

「私、財産の一部をゴールドで持っているの」なんてさりげなくいうと、大金持ちと間違われそうですね。

 

とはいえ、「株や投資信託はともかく、金に投資するほどお金はないし」と踏ん切りがつかない人もいるでしょう。

 

でも、ほんの少しでもいいので、金に投資しておくと、もしもの備えになることだけは確かです。

 

◆金は将来のための資産防衛策

金は人類文明の歴史が始まった頃から、富の象徴として崇められてきました。

 

株や投資信託は、しょせん有価証券という「紙切れ」にすぎません(現在はデータ化されて、紙ですらないですが)。投資する会社が潰れたり、日本円という通貨が信頼を失ったりすると、限りなく無価値になってしまう可能性もあります。

 

そんな「紙切れ」と違い、金にはそれ自体に価値があり、金の価値は市場価格の上げ下げは別にして、どんなことがあっても質・量は目減りしません。

 

「有事の金」という言葉があるように、金融恐慌や経済危機、国家破綻や戦争、テロ、天変地異といった危機に見舞われ紙幣価値が危ぶまれるときこそ、なおさら輝きを増すのが金の魅力といえるでしょう。

 

[図表1]のグラフを見ていただくとわかるように、むしろ有事のときのほうが、金価格は上がっているのです。

 

[図表1]金(ゴールド)は国際情勢が不安定だと値上がりする?

 

なんていうと、ホラー映画かオカルトの世界のように聞こえるかもしれません。でも、世界の情勢に限らず、日本の将来のことだけを考えてみても、誰もがちょっと不安になるはずです。

 

日本は深刻な少子高齢化が進み、社会保障費や医療費は増加の一途をたどっています。国と地方が抱える借金は1,000兆円以上と、GDP(国内総生産)の2倍を軽く超えています。

 

国の金融政策は限界に達しているといってもいいと思います。

 

もし今、金融政策を行っている日銀が「もう国債を大量に購入したり、株を買い支えるのをやめた!」といって政策を転換したら、きっと日本国債も株価も大暴落して大変なことになるでしょう。

 

日本円に対する信頼が失われて、ハイパーインフレに襲われる危険性もあります。

 

そんな危機的な状況になれば、自然と価格は上昇し、いざというときに頼りになるのが金という財産なのです。

 

資産の一部を金で持つことは、将来の自分と大切な資産に保険をかけるという意味で実は重要な防衛策といっていいと思います。