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3兆円をゆうに超える資産を管理する財団の経営権を引き継ぎ
ウォーレン・バフェット、ジム・ロジャーズと並び、世界三大投資家の1人として名高いジョージ・ソロス氏が、250億ドル規模の財産を管理するオープン・ソサエティ財団(OSF)の理事長職を、昨年12月に息子であるアレックス・ソロス氏に譲っていたことが明らかになりました。
オープン・ソサエティ財団は、ソロス一族の財産を管理するファミリーオフィス・ソロスファンドマネジメントの資産の大部分を管理します。また、アレックス氏は一族の中で唯一、ソロス・ファンド・マネジメントの投資委員会に名を連ねていることでも知られており、今回の引き継ぎは実質的な当主交代なのではと目されています。
一つの家族内の出来事がこうも注目を浴びているのは、彼らの資産が莫大であるからということだけに留まりません。というのも、彼らは政治にも大きな影響を及ぼしてきた実績があるからです。
政治にも大きな影響を与えてきたオープンソサエティ財団
ハンガリー系ユダヤ人で、幼少期にナチスによる迫害を経験した父ジョージは、人種差別への反対をはじめリベラルな思想の持ち主です。オープン・ソサエティ財団も、そんな思想を体現するための活動の場として生まれ、社会正義、教育、公衆衛生、メディアの独立の助成などに投資を行ってきました。
最その最たるものが、スーパーPAC(Super Political Action Committee:特別政治活動委員会)です。アメリカでは、企業が特定の政党や政治家に資金提供したい場合、直接献金することができず、PAC(Political Action Committee:政治活動委員会)を通じて寄付する必要があります。しかし、PAC経由の場合も寄附額に制限があるため、選挙結果に影響を与えるのは容易ではありません。
そこで、その制限を回避するために用いられるのがスーパーPACです。政党や政治家に直接寄付したり、選挙時の宣伝を制作することができるPACに対し、スーパーPACはそれらの行為が禁止されている代わりに寄附額の制限がありません。そのため多額の費用を費やして、(支援団体の)政策をアピールしたり、(対抗陣営の)ネガティブな情報を拡散することで、選挙情勢に大きな影響が与えられます。
オープンソサエティ財団は父ジョージが理事長のころから、スーパーPACを利用して民主党を強力に支援してきました。息子アレックスは、「父以上に政治的」と自身を表しており、今後の選挙において大きな存在感を示すことは想像に難くありません。