幼少期の頃の豊かな自然との関わり・体験は、その後の人生においてプラスに作用します。しかし、さまざまな事情から「自然体験格差」が生じ、問題視されています。そのようななか、公益財団法人 日本自然保護協会(NACS-J)が進めているのが、「すべてのこどもに自然を!プロジェクト」です。その活動内容をみていきましょう。

自然体験格差が生じている現状

連載第1回~5回でみてきたように、幼少期の自然との豊かな体験は、子どもの感性・知性・心を育み、自己肯定感や学力といったその後の人生にも良い影響を及ぼすことが分かっています。

 

しかし、子どもの自然体験は低水準に留まっています。特に、収入が少ない家庭で自然体験が少なくなっており、家庭の境遇によって自然体験格差ができてしまっているのです。

 

そこで、日本自然保護協会では、家庭の境遇に関わらずすべての子どもに自然の原体験の機会を届けることを目指す「すべてのこどもに自然を!プロジェクト」を進めています。

保育園での「自然観察・自然体験」の場を増やしたい

 

プロジェクトでは、まずはさまざまな家庭が利用する保育園での自然観察や自然体験の場を増やしたいと考えています。

 

これまで、乳幼児との自然観察会の開催ノウハウをまとめたテキストの作成したり、自然観察会のリーダー=自然観察指導員(関連記事:『充実したボランティアライフ「自然観察指導員」のススメ』)が保育園で行う自然観察会を企画したりしています。

 

また、保育園で自然体験の機会を増やすためには、保育士さん自身が園児と自然観察会を実施できるようにすることが有効なため、保育士を目指す学生向けの自然観察指導員講習会も開催してきました。

 

学生向けの自然観察指導員講習会では、そもそも自分が子どものころに自然体験をしてきていないという学生も多く、受講にあたって、虫やカエルが苦手で不安という声も聞きました。そうした中で行う講習会では、最初のプログラムである森の中での自然観察の実習時には虫をみて悲鳴をあげる人も。

 

それでも講習会が進むうちに自然の中で過ごしたり虫を観ることへの拒否感がなくなり、講習最後に受講者自身で自然観察会を開いてみる実習では、保育園児を想定しながら、落ち葉などを使った遊びからはじまり葉っぱを見比べて「この穴は何だろう?」と観察する、といった、子どもの好奇心と観察力を伸ばす自然観察会を組み立てるまでに至っていました。

 

受講した学生からは、「苦手だった昆虫にも少しだけ歩み寄れた」「自然に関心はなかったけど関心が持てた」「保育士として働く上で、ためになった」という感想も多くみられました。

 

保育園児の自然体験を増やすためにも、乳幼児との楽しい自然観察ができる保育士の育成はとても重要だと実感しています。

 

 

 

日本自然保護協会では、今後も、保育園との協働はじめ、乳幼児の自然観察を広める活動を進めていきますのでご支援よろしくお願いいたします。