アメリカ不動産の情報を調べたり、記事を読んだりしていると、馴染みのない用語を目にすることがよくあります。それらの用語を検索してみても、いまいち要領を得ない……そんな経験は多いもの。しっかり理解するには、アメリカの文化や現地事情への理解が必要な場合もあります。今回、アメリカ不動産における頻出用語のなかから、「Sublease(サブリース)」と「Sublet(サブレット)」に焦点をあてていきます。

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「サブリース」と「Sublease」「Sublet」の類似点

日本の不動産業界でサブリースと言えば、オーナーAさんから物件を借りているBさんが、その物件をCさんに貸すことを指します。営利目的で行うこともあれば、信用審査を通すために行うこともありますし、その両方を兼ねるケースもよくあります。

 

営利目的の場合は、Bさんの役割を不動産会社が担うことも多く、その場合は多くの物件を一括で借り上げ(マスターリース)、そこに少しマージンを乗せた上で一物件ずつ一般入居者に貸す(サブリース)ことで利益を得るというビジネスモデルです。AさんはBさんと契約しますが、実際に住むのはCさんです。

 

アメリカにおける「Sublease」と「Sublet」も、物件の住み手が元々の借り手(Bさん)から、別の借り手(Cさん)に変わる点は同じです。それでは何が違うかというと、「Sublease」や「Sublet」は、営利目的よりも損失回避を目的に行われる点です。

アメリカの賃借人による契約違反の回避策

日本の賃貸契約では、契約期間内の退去に大きなリスクはありません。1ヶ月かせいぜい2ヶ月前に告知すれば違約金なく退去できますし、それを待てない場合も、その期間分の賃料を払えばお咎めなしです。契約満了前の退去は、初期費用や更新費の分だけ損に感じるくらいで、大きなデメリットはありません。

 

一方、アメリカでは契約期間は絶対です。期間前の解約には多額の違約金を請求されるか、そもそも解約を一切認められない(退去しても残期間の家賃は保証しなければならない)かのどちらかであることが一般的です。

 

しかし、それでも転居しなくてはいけない理由が発生することがあります。そんなときにアメリカ人が試みるのが「Sublease」や「Sublet」です。そもそもオーナーが契約期間を守らせたい最大の理由は空室期間の収益低下を避けるためですから、代わりに借り手がいて家賃が入ってくるのであれば、元の入居者にこだわる理由はありません。

 

つまりアメリカ人にとっては、「Sublease」や「Sublet」は契約満了前の退去を認めてもらうための手段なのです。

「Sublease」と「Sublet」の違い

では、「Sublease」と「Sublet」の違いは何なのでしょうか?それは元の賃貸契約が残るかどうかです。

 

「Sublease」の場合、オーナー(Aさん)と元の借り手(Bさん)の契約が残ったうえで、Bさんと新しい借り手(Cさん)が新たに契約を結びます。この場合、Bさんの家賃を収める義務は継続しますから、Cさんが家賃を滞納した場合にはBさんが不足分を支払わなくてはなりません。

 

一方、「Sublet」の場合は、AさんとCさんが新たに賃貸契約を結びます。AさんとBさんの契約は、何らかの条件のもと解除されます(Cさんを見つけて来ただけでOKの場合もあれば、通常より安い違約金を払う場合もあります)。契約解除後はBさんには一切の責任から開放されます。

 

Bさんからすれば、「Sublet」が選べるなら「Sublet」にすべきケースがほとんどです。「Sublease」を積極的に選ぶケースは、物件全体から退去するわけでなく、空き部屋に誰かを住まわせて家賃を節約したい場合か、日本のサブリース契約のようにマージンを乗せて利益を得たい場合でしょうか。

 

一方、Aさんからすれば、一定期間住んで家賃支払い実績があるBさんとの契約を残すほうがリスクが小さいことがほとんどです(Bさんに滞納歴があったり、物件の使用法に問題がある場合は別ですが)。

 

最後に、Cさんにとっては、「Sublease」と「Sublet」はどちらも大きく変わりません。「Sublease」でBさんの契約を残しておくほうが支払いを押し付けやすい一方で、「Sublet」でオーナーと直接契約するほうがBさんにマージンを取られる心配がありません。ただ、どちらもBさんとの信頼関係があれば考える必要のないメリット・デメリットです。

 

こうした点から、「Sublease」と「Sublet」のどちらが選ばれるかは、オーナーのAさんと、元の借り手のBさんの協議によって決まることが多いようです。日本ではあまりみかけない習慣ですから、物件を貸し出す際にはご注意ください。

 

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本記事は、富裕層のためのウェブマガジン「賢者の投資術」(Powerd by OPEN HOUSE)にて公開されたコラムを、GGO編集部にて再編集したものです。

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