会社員は多くの場合、「会社が年末調整をして税金を申告、本人はなにもせずに終了」というケースが一般的です。しかし、副業をしていない会社員でも確定申告によって納税額を大きく減らすことも可能だと、グロウアップリテラシー代表の守屋勇希氏はいいます。「35歳・年収540万円のサラリーマン」の事例をもとに詳しくみていきましょう。
年収540万円の35歳・会社員「えっ、こんなに!?」確定申告で得した金額に満面の笑み【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

年収540万円のAさん…確定申告しないと「37万円」の損

このように、活用できればお得な「住宅ローン控除」と「医療費控除」ですが、自分で確定申告をしなければ損をしてしまう可能性があります。

 

さきほど述べたように、所得税は控除を加えてからの計算になりますから、年収が540万円でたとえば住宅ローン控除が45万円、医療費控除が80万円、さらに所得控除の基本である基礎控除48万円や配偶者控除38万円などを活用した場合、税の計算上は「年収329万円」となり、所得税の計算は540万円の場合の20%ではなく、10%の計算になります。

 

つまり、年収540万円のまま計算すると、540万×20%-控除金額42万7,500円となり、納めなければならない所得税の金額は60万5,000円となりますが、

 

一方確定申告を自分できちんとした場合329万×10%-控除金額9万7,500円となり、納めなければならない所得税額は23万1,350円となります。

 

いかがでしょうか? 確定申告をするだけで37万円も納税する金額が変わります。これは、利用しない手はないですよね。

 

確定申告によって37万円も得をしたAさんは、「浮いたお金でハワイにでも行こうかな」と大変上機嫌でした。

 

iDeCoも控除対象に

住宅ローン控除や医療費控除の他にも、「iDeCo」の制度を利用することで所得控除を行うことができます。iDeCoの掛け金は全額所得控除となるため、その分納税する金額を減らせる可能性があるのです。

 

たとえば、iDeCoで毎月2万円積み立てた場合、1年で24万円積み立てたことになります。この金額は、住宅ローン控除や医療費控除と同じように控除に使うことができます。

 

つまり、iDeCoの制度を利用することで老後の資金を準備するとともに、今支払うべき税金の納税額も減らすことができるというわけです。このiDeCoも使わないと損ですよね。

 

まとめ

サラリーマンなら「年末調整をすれば安心」ということは決してなく、きちんと自分で控除を組み入れた確定申告をすることで、年収は同じでも結果的に納税する金額を下げることができる可能性があります。それだけ、控除は大事です。

 

今回紹介した控除はほんの一部ですから、他の控除も活用することで納税する金額をさらに減らすことができるかもしれません。もしお子さんがいれば、奥さんの他にも配偶者控除を受けることができます。

 

まずは1度、自分が利用できる控除を調べ、可能であれば計算してみることをおすすめします。

 

 

守屋 勇希

グロウアップリテラシー

代表