この春、新型コロナウイルス感染症の第5類への移行となるなか、人々がマスクをつける頻度は、どのように変化しているのでしょうか。ニッセイ基礎研究所の村松容子氏が「子育て世代」に焦点をあて解説します。
子育て中の人々のコロナ禍前後のマスクをつける頻度の変化 (写真はイメージです/PIXTA)

1―はじめに

政府は、2022年5月から、屋外では季節を問わずマスクの着用は原則不要で、屋内でも会話をほとんど行わないような場合にもマスクの着用は不要と案内している*1。しかし、2023年1月現在も、場面に関わらず、多くの人がマスクを着用しているのではないだろうか。本稿では、ニッセイ基礎研究所が子育て中の人々を対象に行った独自のWEBアンケート調査を用いて、子育て中の人々がコロナ禍前後のマスクをつける頻度の変化について、男女、年齢層、子どもの持病の有無別に確認した分析結果を紹介する。

 

結果を先取りしてお伝えすれば、コロナ禍前と2022年10月の調査時点を比べると、子育て中の人のマスクをつける頻度は大きく増加したが、特に、男性よりも女性、低年齢層(34歳以下)よりも高年齢層(55歳以上)の人々の間でマスクをつける頻度が増加した傾向が見られた。また、子どもに持病がある場合は、育児分担割合が大きいほど、外出時に常にマスクをつける頻度が増えた傾向が示唆された。

 

*1:厚生労働省 (https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000942851.pdf, 2022/12/27アクセス)

2―調査概要

本分析に用いたデータは、ニッセイ基礎研究所が、全国の24~64歳男女で、小学生から中学生の同居の子のいる方を対象*2に、2022年10月に実施したインターネット調査によって得られたものである*3。調査回答は、有職者男性:無職者男性:有職者女性:無職者女性の割合が、なるべく全国の分布*4に近づくよう配信した上で、ご協力いただける方から回収を行った*5。回答数は1,000件である。

 

*2:株式会社クロス・マーケティングのモニター会員

*3:本研究は、公益財団法人かんぽ財団令和4年度の助成による成果である。記して深謝する。

*4:令和3年国民生活基礎調査の児童有の人の有職者無職者の分布

*5:配信時に分布を考慮したが、回収時の割付は行っていない。