市場取引・投資銀行業務に強みを持つGS社
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10月17日、国内外のメディアが、ゴールドマン・サックスのCEOであるデービッド・ソロモン氏が大規模な組織再編を計画中であることを報じました。報道によると、現在4つある部門を、統合及び新設し、3部門にする計画のようです。
現在の部門は、1.グローバル・マーケッツ部門(株式、債券、為替などの金融市場での取引)、2.投資銀行部門(自社によるM&Aおよび、顧客のM&Aに関するアドバイザリー業務など)、3.コンシューマー&ウェルスマネジメント部門(消費者および富裕層の資産運用)、4.アセットマネジメント部門(企業や不動産などへの投資)の4つです。
直近の四半期の部門別売上は、1.グローバル・マーケッツ部門が55%と圧倒的で、以下は2.投資銀行部門18%、3.コンシューマー&ウェルスマネジメント部門18%、4.アセットマネジメント部門9%と続きます。
今回の事業再編では、1と2、3と4をそれぞれ統合するとともに、新たに金融技術プラットフォームに関する部門を創設。2016年に開始し次の収益の柱となることを期待されている消費者向け銀行事業「マーカス」は、3、4の統合部門に吸収されると見られています。
金融資産取引への依存脱却を図る
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専門家の多くは、再編の背景に同社の企業価値が同業他社に比べて低いこと、つまり市場から評価されていないことが大きく影響していると見ています。同社の株価純資産倍率は今年6月時点で0.9倍でした。これは大手銀行の中ではシティグループに次いで2番目に低い数字です。ライバルであるモルガン・スタンレーが1.4倍、JPモルガンが1.3倍であることを考えると、ゴールドマン・サックスに対する投資家たちの期待がいかに低いかが分かります。
ゴールドマン・サックスは市場取引事業や投資銀行事業を強みとしてきましたが、これらの事業は大きな収益を上げやすい反面、リスクも大きいとされています。投資家たちはより安定して収益を挙げられる事業を好むため、同社の企業評価低下につながっているようです。
ゴールドマン・サックスはこうした状況を是正するために、CEOのソロモン氏を中心に、過去にも大きな事業改革を行ってきました。先ほど紹介した消費者向け銀行事業「マーカス」もその1つです。
多くのユーザーから少額の手数料を取るビジネスは収益のブレが少ないため、同社の課題である収益安定性向上の一手として立ち上げられました。アップル社と提携し「アップルカード」の発行主体となるなど、オンライン銀行としてメジャーなポジションを取ることを目指していますが、立ち上げから6年、期待されたほどの成長ができていません。今回の再編は、この「マーカス」のテコ入れをはじめ、主力2事業の依存度を下げるために実施されるというのが大方の見方です。
金融資産から実物資産へのトレンドはより強固に
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この再編ニュースから読み取れるのは、世界の投資家の関心が金融資産から実物資産(や実体のあるビジネス)へとシフトしはじめているという点です。ゴールドマン・サックスは2021年、記録的な利益を上げています。今年も、市場環境が良くないなかでもきっちりと利益を出しています。市場取引事業や投資銀行事業に依存していると言っても、その2事業における同社のパフォーマンスは非常に高いのです。
にもかかわらず企業評価が他行に劣るのは、投資家たちがそれだけポートフォリオリスクを恐れていることを意味します。ゴールドマン・サックスの売上実積を考えれば、現在の株価は割安と言っていいはずですが、そのお得感よりも金融資産不振への警戒心が強いのです。
ゴールドマン・サックスですら、アセット&ウェルスマネジメント事業を3部門の一角として重点するように、実物資産選好トレンドはいまや決定的になっているのです。