ビットコインETFは、米国やカナダ、オーストラリアなど複数の国の証券取引所に上場しており、株式と同じように取引できるメリットがあります。しかし、今のところ日本ではまだ取引ができません。デメリットを含め、今後の展望を解説します。
「ビットコインETF」に投資するメリットとデメリットを解説 (※写真はイメージです/PIXTA)

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2021年10月、米国で初めてビットコインETF『プロシェアーズ・ビットコイン・ストラテージーETF』の上場が承認され、大きく注目を集めました。

 

このビットコインETFは、米国以外にもカナダやオーストラリア、ブラジルなど多くの国々で上場しています。ビットコインETFへの投資は、現物投資とどのような違いがあるのでしょうか?

 

本記事では、ビットコインETFのメリットやデメリットについて解説します。

1. ビットコインETFとは
1.1. ビットコインETFの概要
1.2. ビットコインETFは日本国内で買える?
2. ビットコインETFに投資するメリット
2.1. ビットコインの現物を自分で管理しなくてよい
2.2. 譲渡益への税金負担が軽減される
2.3. ビットコイン市場拡大のきっかけになる
3. ビットコインETFに投資するデメリット
3.1. いつでも取引できるわけではない
3.2. 購入手数料や信託報酬がかかる
3.3. リスクがなくなるわけではない
4. まとめ

1. ビットコインETFとは

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

まずは、ビットコインETFの概要を解説します。

 

1.1. ビットコインETFの概要

ビットコインETFとは、ビットコインの価格推移に連動するように運用されている金融商品です。

 

ETFとは「上場投資信託」と呼ばれるもので、投資信託でありながら証券取引所へ上場していることが特徴です。通常、投資信託の基準価額は1日1回しか決まりませんが、ETFは市場で流通しているので、リアルタイムの価格で売買できます。

 

1.2. ビットコインETFは日本国内で買える?

2022年9月時点では、ビットコインETFを日本国内で購入することはできません。

 

海外で取引できるビットコインETFの例として、下記の銘柄が挙げられます。

 

  • 『プロシェアーズ・ビットコイン・ストラテジーETF(BITO)』(米国)
  • 『Purpose Bitcoin ETF(BTCC)』(カナダ)
  • 『Cosmos Purpose Bitcoin Access ETF(CBTC)』(オーストラリア)
  • 『QR CME CF Bitcoin Reference(QBTC11)』(ブラジル)

 

国内大手ネット証券のなかには海外ETFの取引ができるところもありますが、上記ETFについては取り扱いがありません(2022年9月時点)。

 

海外の証券会社で口座開設をしてビットコインETFを購入する方法もありますが、英語で取引を行い、現地通貨を準備する手間を考えると、おすすめできる方法とはいえません。

 

今後、日本独自のビットコインETFが組成されることや、海外で承認されているビットコインETFが日本国内の証券会社で取り扱われることが待たれます。

2. ビットコインETFに投資するメリット

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

ビットコインETFへの投資には、主に次の3つのメリットがあります。

 

  1. ビットコインを自分で管理しなくてよい
  2. 譲渡益への税負担が軽減される
  3. ビットコイン市場拡大のきっかけになる

 

それぞれ詳しく解説します。

 

2.1. ビットコインの現物を自分で管理しなくてよい

ビットコインの現物へ投資する場合、ビットコインを自ら管理する必要があります。現物の管理ではハッキングなどの被害に備えてウォレットを使用しますが、数多くの種類のなかから自分に適したウォレットを選定するのは簡単なことではありません。

 

一方、ビットコインETFは証券口座内で管理されるため、ウォレットを準備して現物を管理する必要がありません。「現物投資は管理に手間がかかるので億劫だ」と感じている人にとって、ビットコインETFは手軽な投資手段といえます。

 

2.2. 譲渡益への税金負担が軽減される

ビットコインETFで譲渡益が出た場合、現物投資に比べて税負担が軽減される可能性があります。

 

ビットコインの現物投資で譲渡益が出た場合、税制上では「雑所得」として取り扱われるため、利益が大きいほど税率が高くなる仕組みです。雑所得は他の所得と合算して、下記の税率が適用されます。

 

出典:国税庁「No.2260 所得税の税率」
[図表]所得税の速算表 出典:国税庁「No.2260 所得税の税率

 

たとえば、ビットコインの売却で100万円の利益、それ以外の課税所得が650万円の場合、合計750万円の課税所得となり、23%の税率が適用されます。他の所得金額が大きい人やビットコインで多額の利益を得た場合、最高45%までの税率が適用されてしまうこともあるのです。

 

一方、ビットコインETFで譲渡益が出た場合は、株式や投資信託と同様に申告分離課税で取り扱われるため、一律20.315%(所得税15.315%、住民税5%)の課税となります。したがって、譲渡益の金額によっては、ビットコインETFのほうが税負担が抑えられるメリットがあります。

 

また、特定口座(源泉徴収あり)でビットコインETFを保有していれば、確定申告の手間がかからないのも嬉しいポイントです。

 

2.3. ビットコイン市場拡大のきっかけになる

ビットコインETFの取引が活発になれば、ビットコイン市場の拡大につながる期待があります。

 

2021年10月、米国で初めてビットコインETFが上場した際、その期待感からビットコインの価格も大きく上昇しました。「現物投資は抵抗があるけど、ETFなら購入してみようか」と、これまで暗号資産取引を行っていなかった層が参入するきっかけになったからです。さらに、ビットコインに投資できない機関投資家からの買いも期待できます。

 

今後、ビットコインETFへの資金流入が増加すれば、ビットコインの信頼向上にも期待がかかるでしょう。

3. ビットコインETFに投資するデメリット

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

さまざまなメリットが挙げられるビットコインETFですが、デメリットもあることを知っておきましょう。

 

3.1. いつでも取引できるわけではない

ビットコインETFは、現物投資と比較して取引時間が限られています。

 

ビットコインの現物は、24時間365日いつでも取引が可能です。そのため、休日や夜間など株式市場がクローズしている間でも取引のチャンスがあります。

 

一方、ビットコインETFは証券取引所にて取引が行われるため、取引時間は上場している市場に準拠します。たとえば、『プロシェアーズ・ビットコイン・ストラテージーETF(BITO)』はニューヨーク証券取引所に上場しているため、取引時間の9:30~16:00(現地時間)しか売買できません。

 

ビットコインの現物と違い、証券取引所がクローズしたあとや休日・祝日は取引できないため注意が必要です。

 

3.2. 購入手数料や信託報酬がかかる

ビットコインの現物取引は、取引手数料やスプレッドは発生しますが、保有中に管理費がかかることはありません。

 

一方、ビットコインETFは投資信託なので、投資家は購入手数料や信託報酬の負担が必要です。運用管理費は銘柄ごとに異なるため、ビットコインETFを購入する際はあらかじめ取引コストを確認することが大切です。

 

3.3. リスクがなくなるわけではない

ビットコインなどの暗号資産取引は価格変動が大きく、リスクが高い金融商品として知られています。

 

ビットコインETFは、証券取引所に上場する基準をクリアしているものの、ビットコインの投資リスクがなくなるわけではありません。

 

ビットコインETFは、ビットコインの価格に連動するよう運用されているため、ビットコインの価格が急変した際はビットコインETFも同様の価格推移をします。市場動向によっては、大きな損失を被るリスクがあることを理解しておくことが大切です。

4. まとめ

本記事では、ビットコインETFに投資するメリットとデメリットを中心に解説しました。

 

ビットコインETFは米国やカナダ、オーストラリア、ブラジルなど世界各国で上場が承認されていますが、日本ではまだ取り扱いがありません(2022年9月時点)。

 

ビットコインETFへの資金流入が大きくなれば、今後日本でも独自のビットコインETFが組成されたり、海外で承認されているビットコインETFの取り扱いが開始されたりすることも考えられます。

 

また、ビットコイン市場にも大きな影響を与えるため、今後もその動向から目が離せません。