日本経済はこれまでのデフレからインフレ(物価上昇)へと状況は変わりつつあり、資産運用の必要性が高まっています。
この記事では資産運用の始め方と、初心者におすすめの4つの方法について解説します。
1. 資産運用とは
資産運用には、大きく分けて「貯蓄」と「投資」があり、必ずしも投資だけを指すわけではありません。預金などの貯蓄商品を選ぶことも資産運用の一種といえますが、多くの人は「資産運用」と聞くと投資をイメージしがちです。
一般に「貯蓄」とは、銀行預金など、お金を貯めることです。一方「投資」とは、利益を期待してお金を出すことで、株式や投資信託などの購入が投資になります。
銀行などの金融機関の普通預金は、基本的に「自由に引き出しができるお金」です。生活資金など、すぐに必要になりそうなお金は、自由に引き出せる「貯蓄」の形で持っておく必要があります。
一方、教育資金や老後資金など、すぐには必要ないものの、将来のために増やしておきたいお金は、株式や投資信託などで運用し、長い時間をかけて少しずつ増やしていくことが大切です。
2. インフレ対策として資産運用は必要
お金の価値は一定ではありません。その時々の物価によって変わるものです。「インフレ」とは「インフレーション」の略で、私たちが普段買っている生活必需品やサービスの価格(物価)が上昇することを指します。
インフレではお金の価値が下がるので、銀行預金などの形で貯蓄していると、お金の価値が目減りしてしまいます。そして、インフレになると株価や金利が上昇します。
また、インフレでは為替も円安傾向になります。つまり、インフレ対策として株式を保有したり、外貨建て資産を保有したりすることは有効な手段といえるでしょう。
3. 資産運用の始め方
それでは、資産運用の具体的な始め方について解説します。まずは、お金を以下の3つに分けます。
- 日常生活に必要なお金
- 近い将来(数年以内)に使う予定のあるお金
- すぐに使う予定のないお金
1.の「日常生活に必要なお金」と2.の「近い将来に使う予定のあるお金」で投資すると、現在の生活や将来設計に影響をおよぼす可能性があります。そのため、この部分は「貯蓄」で準備をして、3.の「すぐに使う予定のないお金」で投資するようにしてください。
家計管理の基本は、支出をできるだけ少なくして、毎月の給料(収入)を超えないようにすることです。
入ってきたお金を全部使ってしまうのではなく、給料が入ったら一定額を先に天引きして貯金し、残ったお金のなかで家計を管理することが大切です。一般的な方法としては、給与天引きで少しずつ一定額を積み立てていく方法があります。
貯蓄からお金を差し引く習慣をつけると、ムダな出費を抑え、自然とお金は増えていきます。そのため、まずは投資に回せるお金を増やすように心掛けましょう。
4. 初心者は少額から資産運用を始めることが大切
「投資」というと、数百万円単位のまとまった資金が必要だと思っている人もいるかもしれません。しかし、ネット証券を利用すれば、投資信託を100円から購入できるうえ、単元未満株なら個別株も数百円から購入可能です。
少額で投資を始めれば損失の金額も小さいので、気軽に始められます。またNISA制度を利用すれば、利益や配当金に税金がかかりません。
初めは少額から投資にチャレンジして、慣れてきたら金額を増やすようにしましょう。
5. 初心者におすすめの資産運用方法4選
それでは、資産運用でおすすめの方法を4つ紹介します。
4.1. 投資信託
投資信託(ファンド)とは、投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、投資の専門家であるファンドマネージャーが株式や債券などで運用し、その成果を投資額に応じて投資家に分配する金融商品です。集まった資金で何に投資するかは、ファンドマネージャーが投資方針に基づいて決定します。
ネット証券を利用すれば100円から購入でき、難しい経済の知識がなくても、海外の株式や債券など様々な投資対象の投資信託を購入できます。
4.2. つみたてNISA
「つみたてNISA」は、2018年1月にスタートした少額投資非課税制度です。
一般NISAと同様に、年間の非課税投資枠から分配金や譲渡益が出ても税金はかかりません。違いは、非課税投資枠が年間40万円である点と、投資期間が最長20年(最大800万円)と長い点です。
つみたてNISAの対象商品は「販売手数料が不要」「分配頻度が毎月ではない」「信託報酬が低い」など、長期・積立・分散投資に適した投資信託やETF(上場投資信託)に限定されているので、初心者でも安心して購入できる点がメリットです。
4.3. 単元未満株
単元未満株とは、単元株制度において1単元に満たない株式のことです。通常、日本株の単元株式数は100株ですが、単元未満株では1株から購入できます。そのため、単元未満株であれば、数百円から日本株への投資を始められます。
たとえば、SBI証券では単元未満株を取引できる「S株」というサービスがあります。S株の買付手数料は無料で、売却時の手数料は0.55%(税込)。注文受付は24時間365日、いつでも可能です。しかし、市場への発注は1日3回のみなどの制約があります。
また、単元未満株でも保有株式数に応じて配当金を受け取ることはできますが、株主優待を受け取れない場合があるのでご注意ください。
4.4. REIT
REIT(不動産投資信託)とは、投資家から集めた資金で不動産に投資し、その賃料収入や不動産の売買益などを投資家に分配する商品のことです。
投資家はREITを通じて間接的に各種不動産の所有者となり、不動産のプロが運用した成果を受け取れます。そして、REITの配当原資は不動産の賃貸料がメインなので、安定した配当が期待できます。
また、REITは証券取引所に上場しているので上場株式と同じように売買でき、換金性に優れているというメリットがあります。
2022年6月時点のREITの配当利回りを、株式の平均配当利回りと長期金利で比較してみましょう。
J-REITの予想分配金利回り |
3.69% |
株式の平均配当利回り |
2.42% |
長期金利 |
0.23% |
ご覧のように、株式や債券のほうがJ-REITよりも高い利回りを期待できることがわかります。
5. まとめ
将来に向けてお金を貯めるためには、資産運用が欠かせません。まずは日常生活に必要なお金を計算し、余ったお金で投資するように心掛けましょう。
投資信託や単元未満株なら数百円で購入できるので、まずは少額からチャレンジして徐々に慣れていきましょう。