「ビットコイン」という言葉を耳にしたことがある方は多いと思いますが、実はそれは仮想通貨の一部に過ぎません。本記事では、仮想通貨を学びたいという方に向けて、仮想通貨の基礎知識について解説します。
さらに仮想通貨は専門用語も多く学ぶのが難しいため、仮想通貨取引でよく使う用語を厳選してご紹介します。初心者にもわかりやすいように解説しているので、ぜひお役立てください。
1. 仮想通貨(暗号資産)とは?まずは基礎知識を押さえよう
仮想通貨取引を行ううえで、まずは基本的なことをおさえておく必要があります。なぜなら、無知の状態で仮想通貨取引を始めるのはリスクが大きすぎるからです。
- 価格変動が大きい
- 税金がかかる
- 詐欺が多い
何も知らない状態で投資をしていると、多額の損失が出ることもあります。そうならないために、本項では仮想通貨投資に最低限必要な基礎知識をわかりやすく解説します。
1.1. インターネット上の取引で使う電子データの通貨のこと
仮想通貨とは、インターネットを通じて不特定多数の間で物品やサービスの対価に使用できる通貨のことです。実物がないことから、別名「デジタル通貨」ともよばれています。
2009年のビットコイン誕生から取引が開始され、それ以降はイーサリアムをはじめとしたさまざまな通貨が誕生しています。仮想通貨は法定通貨とは異なり、世界共通で使用できることがメリットです。法定通貨のように「国家が通貨の流通量を調整し、景気をコントロールする」ことはできません。
1.2.「ブロックチェーン」を取り入れて不正防止
ブロックチェーンとは、取引情報などのデータが入ったブロックを1本の鎖(チェーン)状につなげ、互いに正確な情報を保持するネットワークのことです。ブロックには、主に2つの情報が入っています。
- 取引データについての情報
- ブロックを連結させるための情報
すべてのブロックが鎖状につながっているため、不正が生じればブロック間でも矛盾が生じます。さらに、ブロックチェーンには中央集権者がいません。誰もがいつでも閲覧・管理できることから、ブロックチェーンでは不正を予防する効果が期待されています。
1.3. 仮想通貨の主な稼ぎ方は5つ!使い方はいろいろ
仮想通貨の稼ぎ方は、主に以下の5つです。
稼ぎ方 |
内容 |
特徴 |
①安く買い、高く売る |
現物を購入し、値段が上がったら売却を行う |
長期でも短期でも可能 |
②レバレッジ取引 |
元手以上の仮想通貨を運用できる |
利益も大きいが、損も大きい |
③レンディングサービス |
仮想通貨を預けて利息をもらう |
・値動きに左右されない ・銀行より利息が大きい |
④アービトラージ法 |
安い取引所で買って、高い取引所で売る |
値上がりを待つ必要がない |
⑤マイニング |
ブロックチェーン上に取引データを保存する作業を行い、報酬をもらう |
・初期費用がかかりやすい ・初心者にはハードルが高い |
このように、仮想通貨を稼ぐ方法は1つではありません。
仮想通貨の使い方もさまざまで、商品やサービスに対する決済や、ゲーム内での決定権、NFTの取引に利用されます。まだ日本では決済に使用できる場面が少ないですが、エルサルバドルでは法定通貨として決済に使用されるほど信頼性の高い通貨であることがわかります。
1.4. 仮想通貨(暗号資産)に関わる法制度
仮想通貨は2009年のビットコイン誕生から取引が開始されたもので、まだ歴史が浅いです。過去には仮想通貨取引所のハッキングにより、多額の仮想通貨が流出する事件も起きてしまいました。仮想通貨を制限する法制度はまだ不十分ですが、仮想通貨が投資対象になっていることや取引量の増加に伴い、少しずつ整備されつつあります。
近年改正された仮想通貨に関する法制度は、以下の通りです。
- 「仮想通貨」→「暗号資産」に名称変更
- 交換業者に対して、情報を信頼性の高い方法(コールドウォレットなど)で管理するように義務化
- 過剰な広告や投機を助長する広告を禁止
- 交換業者が扱う通貨は審査を必要とする
- 交換業者の倒産で、預かっている暗号資産を顧客に優先的に返す制度
徐々に法整備がされつつありますが、税金の高さや詐欺コインの流通などまだまだ課題が多いのが現状です。
2. 初心者が押さえるべき仮想通貨関連の用語17選
仮想通貨は専門用語が多く、すべて覚えるのは難しいですよね。そこで本項では、これから仮想通貨を始める方に向けて、情報収集をするために最低限押さえたい17用語を厳選しました。知らない用語があれば、1度目を通してみてください。
2.1. アルトコイン
アルトコインとは、ビットコイン以外の仮想通貨のことです。「Alternative(別の) Coin」の略称で、イーサリアム(ETH)やリップル(XRP)、ステラルーメン(XLM)などがアルトコインにあたります。
ビットコインが誕生して以降、新たなアルトコインが次々に開発されており、2022年8月時点で20,000を超える仮想通貨が存在します。
アルトコインには、ビットコインのスケーラビリティ問題(容量の制限によって起きる処理速度の遅延問題)を解決するために作られたものや、NFTゲーム、DeFiに特化したものなどさまざまな種類があります。
2.2. ウォレット
ウォレットとは、仮想通貨を保管するインターネット上の財布のことです。銀行からおろしたお金を財布に入れて使うイメージで、仮想通貨は取引所からウォレットに入れることで決済に使えるようになります。
ウォレットには利便性、セキュリティ対策に応じてさまざまな種類があります。
ウォレット名 |
秘密鍵の管理方法 |
ウェブウォレット |
ウェブ上で管理 |
デスクトップウォレット |
デスクトップ(PC)で管理 |
モバイルウォレット |
スマホ(アプリ)で管理 |
ハードウェアウォレット |
ハードウェア(端末と分離)で管理 |
ペーパーウォレット |
紙に印刷して管理 |
ホットウォレット |
オンラインで管理 |
コールドウォレット |
オフラインで管理 |
2.3. エアドロップ
仮想通貨のエアドロップとは、企業や取引所が資金調達を目的に無料でトークンを配ることを指します。
エアドロップの参加方法はさまざまですが、指定された条件をクリアすることでもらえることが多いです。
- SNSでのフォロー
- コミュニティへの参加
- スナップショット(期間内に対象の通貨を保有)
個人情報の流出や詐欺のリスクはありますが、リリース前の仮想通貨を無料で手に入れられるため、気になる仮想通貨プロジェクトがあればエアドロップできるかチェックしましょう。
2.4. 草コイン
草コインには、明確な定義はありません。ビットコイン以外の通貨「アルトコイン」のなかでも、以下の4項目の値が低いコインのことを一般的に草コインとよびます。
- 値段
- 知名度
- 流動性
- 時価総額
仮想通貨は法定通貨ではなく、投資対象として使われているため種類が多いです。暴落や詐欺のリスクもありますが、草コインのなかには1,000倍以上価格が高騰した通貨もあるため、気になる通貨の情報はチェックしておくことをおすすめします。
2.5. ステーブルコイン
ステーブルコインは、価格変動が少なくなるように設計され、比較的安定した価格で取引されているコインのことです。仮想通貨は価格変動が大きいため、通貨としての実用性が低いです。そこで、価値が安定している「ドル」や「金」の価格と連動させることで、通貨の価格をStable(安定)させています。
ステーブルコインの発行元は多くの場合、ほかの資産を担保に運用しており、大きく分けて3つの型があります。
種類 |
仕組み |
法定通貨担保型 |
法定通貨のドルや日本円を担保にする |
仮想通貨担保型 |
ほかの仮想通貨を担保にする |
無担保型 |
無担保であり、流通量を調節して値動きを抑える |
2.6. ステーキング
ステーキングとは、対象となる仮想通貨を保有した状態でブロックチェーンに参加し、報酬として仮想通貨をもらう方法のことです。銀行に預けたお金に利息がつくことをイメージすると理解しやすいでしょう。
仮想通貨の信頼性は、その通貨の流通量が1つの判断材料になります。対象となる通貨を長期間・大量に保有することで、その仮想通貨のデータが正しいことの証明に貢献し、報酬がもらえる仕組みです。取引所やウォレットで保有するだけでは対象にならないため、ほとんどは公式サイトからステーキングを行います。
2.7. スマートコントラクト
スマートコントラクトとは、事前に決められたルールに従い、ブロックチェーン上で自動的に取引が成立する仕組みのことです。自動販売機をイメージするとわかりやすく、150円で販売されているジュースは、150円を入れることで購入できますよね。平等な取引を行うための管理者が不要であるため、ユーザーどうしでスムーズに取引できます。
スマートコントラクトを取り入れているプロジェクトには、有名なイーサリアムをはじめとした仮想通貨のほかに、国際貿易や企業でも試験的に利用が開始されているものがあります。
2.8. ドミナンス
ドミナンスとは、対象となる通貨が仮想通貨市場でどれほどの割合でシェアされているのかを示した数値のことです。ドミナンスは時価総額で決定され、単位は「%」です。
ドミナンスは、投資対象となる通貨を決める指標にも用いられます。たとえば、ビットコインのドミナンスが増えていれば、資金がビットコインに流れていることになります。対して、アルトコインのドミナンスが増えていれば、資金がアルトコインに流れていることになるのです。
2.9. ハードフォーク
ハードフォークとは、仮想通貨のアップデートによって生じるブロックチェーンの分岐のことです。ハードフォークでは、以下の2つが生じる可能性があります。
- 仮想通貨のシステムやルールの変更
- 従来のコインとは異なる互換性のないもう1つのコイン
過去の例として、「The DAO事件」とよばれるイーサリアム流出事件によりイーサリアム内で方向性の対立が生じた際に、「イーサリアム・クラシック」という新しい通貨が誕生しました。
「ソフトフォーク」も仮想通貨のアップデートを示す言葉ですが、一時的に分岐してもまた1つの通貨に戻る点がハードフォークと異なります。
2.10. ハッシュレート
ハッシュレートとは、マイニング(後述)で行われる計算のスピードを表す数値のことです。単位は「hash/s(ハッシュ/セカンド)」で、1秒間にどれくらいの計算が行われているかを示します。
ハッシュレートが高ければ、マイニングの参加者が増えている可能性が高くなります。競争率が高まるので、そのコインの価格は上昇しやすいといえるでしょう。
■ハッシュレートの単位一覧
単位 |
1秒間の計算量 |
K(キロ)hash/s |
1,000回 |
M(メガ)hash/s |
100万回 |
G(ギガ)hash/s |
10億回 |
T(テラ)hash/s |
1兆回 |
P(ペタ)hash/s |
1,000兆回 |
E(エクサ)hash/s |
100京回 |
2.11. 半減期
半減期とは、マイニングでもらえる仮想通貨の報酬が半減するタイミングのことです。半減期は、通貨の発行量をコントロールしてインフレを予防する目的で実施されます。
ビットコインの場合、10分に1回のペースでマイニングが行われ、約4年に1回(210,000ブロックの作成)ごとに半減期となります。ビットコインは、過去に3回の半減期を経験しています。
時期 |
報酬の変化 |
2012年 |
50BTC→25BTC |
2016年 |
25BTC→12.5BTC |
2020年 |
12.5BTC→6.25BTC |
2.12. マイニング
マイニングとは、ブロックチェーン上に仮想通貨の取引データを正しく保存した「ブロック」を新たに追加する作業のことです。複雑で膨大な計算が必要であるため、参加者は報酬として仮想通貨をもらえます。マイナーとよばれる参加者が高性能なコンピューターでマイニングを行いますが、仮想通貨を受け取ることができるのは最初に正解を出した人のみです。
マイニングには、主に3つの方法があります。
種類 |
マイニング方法 |
ソロマイニング |
個人で行う |
プールマイニング |
複数人で行う |
クラウドマイニング |
企業に依頼する |
2.13. ローンチ
ローンチとは、新商品や新サービスの提供を開始することを指す用語です。語源となる「launch」は、打ち上げ、売り出しという意味があります。
仮想通貨市場だけでなく、金融においてもよく使われる言葉の1つです。仮想通貨でのローンチとは、主に以下の内容を指します。
- 新しい仮想通貨の作成
- プロジェクトの立ち上げ
- システムのリリース
2.14. ガチホ
ガチホとは「ガチホールド」の略称で、仮想通貨やプロジェクトのトークンをガチ(本気)でホールド(持ち続ける)することを意味します。売却せず、主に長期的に仮想通貨を運用することを指す言葉です。明確な期間は決まっていませんが、一般的には数ヵ月から数年単位で保有することがガチホにあたるでしょう。
仮想通貨以外でも、株やFXでもガチホという言葉が使われます。
2.15. ショート
ショートとは、資産価値の下落を見込んで取引する方法のことです。
ショートの手順は以下の通りです。
- 通貨の価格が高騰したタイミングで、取引所から仮想通貨を借りて売却
- 価格が下落しているとき、仮想通貨を買い戻して返済
- 1と2の差額が利益
ビットコイン取引で例えると、以下の手順です。
- 1BTC300万円でショート
- 1BTC250万円で買い戻す
- 1と2の差額である50万円が利益
持っていない通貨を売ることから「空売り」ともよばれています。ショートは、レバレッジ取引でのみ行えるため、現物取引ではできないことに注意しましょう。
2.16. ロング
ロングとは、仮想通貨の高騰を狙って取引する方法です。
前述したショートとは反対の取引手順になります。
- 通貨を購入
- 価格が高騰したタイミングで通貨を売却
- 1と2の差額が利益
ビットコイン取引で例えると、以下の手順です。
- 1BTC250万円で購入
- 1BTC300万円に高騰したタイミングで売却
- 1と2の差額である50万円が利益
2.17. ミント
ミントとは、新たなNFT(唯一無二の価値があるデジタルデータ)を発行・リリースすることを指します。お金の鋳造を表す「Minting」が語源の言葉です。スマートコントラクトを使用し、NFTのデータや取引情報をブロックチェーン上に書き込む作業(オンチェーン)を行います。
3. まとめ
本記事では、仮想通貨の専門用語について解説しました。
仮想通貨は2009年のビットコイン誕生から運用が始まった市場であり、日本ではまだ馴染みのない方も多いです。不十分な法制度や取引・操作方法の難しさがネックとなり、未経験の方はなかなか手を出しにくいのが現状です。
これから仮想通貨取引を始めたい方は、まずこの記事で紹介した17用語を理解するだけでも仮想通貨に関する理解が深まります。何度も読み返し、仮想通貨取引にチャレンジしてみてください。