結果によって激しく動き、一瞬で大きな利益が獲得できる指標トレード。多くのトレーダーが参加しています。ただ、プロのデイトレーダーは「重要指標の発表日はあえて休む」という選択肢をとる人も多いと、株式会社ソーシャルインベストメントの清水一喜氏はいいます。一瞬で大きな利益を期待できる指標トレードについて、プロが「あえて休む」のはなぜなのか、みていきましょう。
プロのFXトレーダーが解説…重要指標の発表日に「あえて休む」ワケ ※画像はイメージです/PIXTA

「指標トレード」が危険なワケ

指標トレードは賭博性が高いものです。基本的にテクニカル分析が通用せず、買いか売りか、どちらでエントリーしたらいいかわかりません。

 

ファンダメンタルズ分析ができればある程度の予測はつきますが、テクニカル分析ほどの客観性もなく、投機目的のトレーダーによる”騙し”もよくあるため、分析ができたから勝てるというわけでもありません。

 

すべての証券会社に共通することですが、取引量が極端に多い場合や少ない場合、スプレッドがいきなりなんの前触れもなく拡大します。もし逆指値注文を入れていた場合、状況次第ではエントリーした途端にスプレッド分の含み損で利確されるという恐ろしい事態が起こるのです。

 

重要な経済指標発表の際には、ほぼ確実にスプレッドが拡大します。ドル円のスプレッドが0.2であった場合なら、10倍~20倍はざらです。さらに拡大することもあります。

 

保険である損切り注文を大きくとらないといけないというのは、かなり危険なトレードといえます。

 

スリッページ幅の拡大

「スリッページ」とは、相場の流れが急変動した際、本来注文した値ではなく”滑った先”の値で注文が確定されてしまうことを指します。

 

重要な経済指標発表時は、このスリッページ幅が発生する可能性が高いです。発生した際、「どのくらい滑っていいのか」というスリッページ幅の設定はできますが、あまりにも狭い数値に設定してしまうと今度はエントリー自体ができなくなってしまいます。不利なトレードを強いられてしまうため、指標発表時のエントリーには注意しないといけません。

 

狙うならば、動き始めは捨てて終わりを狙う

たしかに指標の動き始めの予測は難しく、スプレッドも拡大しスリッページ幅も拡大しますが、指標発表後しばらく経つとスプレッドも落ちつき、スリッページも起こりにくい可能性があります。

 

そうなれば、テクニカル分析をすることも可能です。具体的には、終わり際が押し目・戻り目候補ならば、どれだけ値動きに勢いがあったとしても、そこで止まる可能性が高いです。

 

どうしても指標に参加したい場合は、動き初めは捨てて、終わり際にエントリーするようにしましょう。

デイトレーダーなら重要指標時は「休む」

何日もポジションを持ち続けるようなスイングトレーダーやポジショントレーダーの場合指標は無視できないわけですが、1日で完結できるデイトレーダーならば、指標発表時にポジションを持たない・トレードをしないという選択をとることができます。実際に、指標発表がある日にはエントリー自体せずお休みするデイトレーダーも多いです。

 

重要指標が控えていると、トレーダーたちの動きは慎重になっていきます。

 

仮に、テクニカル分析的に必ず動きそうだという場所でも動かないことがよくあります。トレードには集中力も必要なので、重要指標の発表があるときは、思い切って休むというのもいい手です。