食品および肥料は制裁免除
ロシアへの経済制裁は、さまざまな製品の値上がりをもたらしています。しかし、経済制裁参加国も、食品と肥料については制裁を行わないという判断で見解が一致しています。
パンデミックの影響もあり、ウクライナ危機の発生以前から食品は世界的に不足気味で、価格も高騰傾向にありました。そんななかで世界最大規模の小麦の輸出国であるロシア、ウクライナが戦火に見舞われたことで、アフリカや中東を中心に小麦不足が激化しています。
特に、アフリカ諸国は世界の栄養失調人口の3分の1を占めていると言われており、経済的にも豊かではないため、小麦の入手コストが上昇することは死活問題です。
各国のリーダーもこうした状況を理解しているため、食料供給のさらなる悪化を防ぐために、食品および肥料への制裁を行わないという判断が行われました。
食品企業はロシアとの取引を控える傾向に
しかし、政府の思惑とは裏腹に、食品関連産業の企業たちは、ロシアとの取引を控える傾向にあるようです。
アフリカの食糧危機を訴えるセネガル経済大臣のアマドゥ・ホット氏は、「誰もが、食品と肥料が制裁から免除されていることを理解している。しかし、市場参加者は、トレーダーであれ、銀行であれ、保険会社であれ、製品が特定の場所(編集部注:ロシア)から来ている場合、将来的に制裁を受けることを恐れ、参加したがらないのだ」と発言。企業からしてみれば、いつ制裁がはじまるか分からない状況のなかで、ロシア産食品に依存するのは危険な賭けになってしまっていることを指摘しました。
また、食糧危機への備えとして、食糧や主要物資の備蓄、輸出制限などを行う国が現れはじめることへの懸念も高まっています。イエレン米財務長官は同討論会で、G20は率先して模範を示し、「市場をゆがめ、物価をさらに上昇させる」可能性のある、逆効果の行動を避けるよう他国に呼びかけなければならない、と述べました。