仮想通貨取引を行っているものの、税金に関する不安を抱える人も少なくないはずです。本記事では、年をまたいで利益確定した場合の税金に焦点を当てて解説していきます。できるだけ納税の負担を抑えるためにも、ぜひ参考にしてください。
仮想通貨取引で年をまたいで利益確定した場合の税金計算方法を解説 (※画像はイメージです/PIXTA)

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仮想通貨の取引を行っているものの、税金に関する不安を抱えている人は多いでしょう。

 

そこで本記事では、年をまたいで仮想通貨を利確した際の税金についてわかりやすく解説していきます。

 

日本の税制は複雑で敬遠されがちですが、正しい知識があれば納税額を最小限に抑えられますので、ぜひ参考にしてください。

1. 仮想通貨で年をまたいで利益確定した場合の税金計算に関する注意点
1.1. 仮想通貨の損失は翌年度以降に繰り越しできない
1.2. 過去の仮想通貨取得代金は引き継ぎ可能で経費となる
1.3. 課税対象のタイミングは入金時ではない
2. 仮想通貨の損益確定するタイミングによって税金が異なる
2.1. 仮想通貨を保有し年をまたいで利益確定した場合
2.2. 仮想通貨の利益が複数年に渡り発生した場合
2.3. 仮想通貨を保有し年をまたいで損失が確定(損切り)した場合
2.4. 利益が発生した年と損失が発生した年がある場合
3. 仮想通貨の確定申告における悲惨な事例
4. 年内にできる仮想通貨の節税対策
4.1. 損失が出ているアルトコインと相殺させて利益を減らす
4.2. 仮想通貨の取引に必要な経費を再確認し差し引く
4.3. 海外FXの取引で生じた損失との相殺も可能
4.4. ふるさと納税を利用して所得から差し引く
5. 仮想通貨に関わる税金や確定申告についてのよくある質問
Q1. 仮想通貨の取得価額の計算方法は?
Q2. 仮想通貨の分裂(分岐)で仮想通貨を取得した場合の対処法は?
Q3. 確定申告をせず正しい税金を払わなくてもばれない?
Q4. 仮想通貨の確定申告で認められる必要経費は?
6. まとめ

1. 仮想通貨で年をまたいで利益確定した場合の税金計算に関する注意点

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

税金の算定にあたっては1月1日から12月31日をひとつの区切りとするため、年末に利確をするかどうかで、納める税金の額が変わってきます。ここでは、年をまたいで利確した際の税金について解説します。

 

1.1. 仮想通貨の損失は翌年度以降に繰り越しできない

現行の税制では、仮想通貨の損失を翌年以降に繰り越すことはできません。ただし、同一期内においては、利益と損失の相殺が可能です。

 

たとえば、X年に1万円の損失を出し、Y年に2万円の利益を出したとします。この場合、X年の損失は繰り越せないので、Y年は単純に2万円の利益にかかる税金を納めなければなりません。

 

一方で、Y年にビットコインで1万円の損失、イーサリアムで2万円の利益が生じた場合、通貨の種類は異なりますが、同一期の損益なので相殺が可能です。つまり、差し引き1万円の利益に課税されます。

 

1.2. 過去の仮想通貨取得代金は引き継ぎ可能で経費となる

税の算出にあたっては基本的に、所得から経費を差し引くことが可能です。当然、仮想通貨を取得するために要した費用は経費として扱えます。

 

そして、ポイントとなるのは、仮想通貨の取得代金は年をまたいだ引き継ぎが可能だという点です。たとえば、ある仮想通貨をX年に1万円で取得し、Y年に2万円で売却したとします。この場合、Y年の利益は、2-1=1万円となるわけです。

 

取得代金を差し引くかどうかで、納める税額も大きく変動します。過去の取引に関するデータは必ず保管しておくようにしましょう。

 

1.3. 課税対象のタイミングは入金時ではない

利益は銀行口座に入金されて初めて課税されるものと勘違いされがちですが、それは誤りです。仮想通貨の売却や交換で得た利益は、取引が成立した時点で税金が発生します。仮想通貨でモノやサービスを購入した場合も同様です。

 

たとえば、1万円で取得した仮想通貨を2万円で売却すると1万円の利益に対する税金が発生します。たとえ、売却益が取引所のアカウント上に残ったままで、口座に入金されてなくても課税されてしまいます。

2. 仮想通貨の損益確定するタイミングによって税金が異なる

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

税金の算定にあたっては、損益確定のタイミングが重要です。年をまたぐかどうかで、納税額が左右されるので、必要最低限の知識として理解を深めておきましょう。

 

2.1. 仮想通貨を保有し年をまたいで利益確定した場合

仮想通貨を保有したまま年をまたいで利確した場合、利益を確定させた年の損益として申告する必要があります。たとえば、X年に1万円で取得した仮想通貨をY年は持ち越し、Z年に3万円で売却したとすると、差し引き2万円の売却益はZ年の利益として扱わなければなりません。

 

つまり、ただ保有しているだけでアクションを起こさなかったY年の損益計算には影響が生じないということです。利確を1日ずらすだけで、その年における利益の調整が可能なので、節税テクニックとしてぜひ覚えておきましょう。

 

2.2. 仮想通貨の利益が複数年に渡り発生した場合

利益が複数年にわたって発生した場合は、それぞれの年において利益を計算し、申告しなければなりません。たとえば、X年に1万円でビットコインを購入し、Y年に3万円分のイーサリアムと交換した場合、差し引き2万円がY年の利益となります。さらに、Z年において、保有するイーサリアムを5万円分のビットコインに再度交換した場合、差し引き2万円がZ年の利益となるのです。

 

元をたどれば、同じ1万円のビットコインであっても、取引の度に生じる利益は一年区切りで課税対象となります。その点を意識して帳簿を作成するだけでも、税金計算の手間を格段に減らせるでしょう。

 

2.3. 仮想通貨を保有し年をまたいで損失が確定(損切り)した場合

仮想通貨を保有したまま年をまたいで損切りを行った場合、損失が確定した年の損益に計上する必要があります。たとえば、X年に3万円で購入した通貨をY年に1万円で売却したとすると、差し引き2万円のマイナスはY年の損失として扱わなければなりません。

 

年末に損切りをして、その年の所得を20万円以内に収められるのであれば、税制上、非課税にできる場合があるので、思い切って損失を確定させるのもひとつの方法といえます。また、一部だけ損切りをして損失の幅を調整するテクニックも覚えておきましょう。

 

2.4. 利益が発生した年と損失が発生した年がある場合

儲かった年と損した年がある場合も、それぞれの年において損益を計算し、申告しなければなりません。たとえば、X年に1万円でビットコインを購入し、Y年に5万円分のイーサリアムと交換した場合、差し引き4万円がY年の利益となります。しかし、Z年において、保有するイーサリアムを3万円分のビットコインと交換してしまった場合、差し引き-2万円がZ年の損失となるのです。

 

利益を得た翌年に損失を出してしまうと、額によっては税金の負担がかなり大きくなります。税金は一年単位で算出され、翌年の税額に影響してくるという基本ルールを忘れてはいけません。

3. 仮想通貨の確定申告における悲惨な事例

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

仮想通貨は法定通貨に換金しなくても、他の仮想通貨と交換するだけで税金が発生します。仮想通貨ブーム当初はこの税制が浸透しておらず、一時は莫大な資産を手にした人たちがのちに大きな納税の負担を強いられることになりました。

 

たとえば、元手1万円で購入したビットコインが値上がりし、5万円分のイーサリアムと交換できたとします。この場合、交換の取引が成立した時点で、差し引き4万円が課税対象となります。

 

では、通貨が暴落した場合はどういう結末が待っているのでしょうか。

 

5万円分のイーサリアムが1万円まで値下がりした場合、元手1万円からの利益はゼロです。しかし、4万円分に対する税金は残ったままになります。つまり、利益がないのに税金を納めなければならない事態が生じてしまうのです。

 

さらに、最後まで納税の義務に気づかなかった場合は、追徴課税を求められるケースもあります。実際、億単位で仮想通貨の交換を行った人が、年収の何倍にも及ぶ追加徴税を命じられた事例もあるほどです。

4. 年内にできる仮想通貨の節税対策

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

税金の算定は原則として1年単位で行われるため、年内に節税対策を取れるかどうかで、納めるべき税額は大きく変わってきます。ここからは、具体的な節税のポイントを解説していくので、参考にしてください。

 

4.1. 損失が出ているアルトコインと相殺させて利益を減らす

仮想通貨に対する税金は、同一年内であれば利益と損失の相殺が可能です。思い切ってアルトコインの損失を計上すれば利益を減らせるので、結果的に納税額も抑えられます。

 

もちろん、含み損となっているアルトコインであっても、将来性を見込んでいる場合は保有し続ける価値はあるでしょう。ですが、損失を出すのを嫌って保有しているようなアルトコインであれば、利益と相殺するために売却するのも節税対策として効果的です。

 

4.2. 仮想通貨の取引に必要な経費を再確認し差し引く

課税対象となる利益からは必要経費を差し引くことが可能です。仮想通貨の取得経費や取引にかかる手数料はもちろん、セミナーの受講費や通信費も経費として扱えます。

 

その他にも必要経費と認められるものは数多く存在しますが、重要なのは、取引を実行するうえで欠かせない支出といえるかです。あまりにも関連性が低ければ利益との相殺が不適切だと判断される可能性があるので、自分だけで判断が難しければ税理士などの専門家にアドバイスを求めましょう。

 

4.3. 海外FXの取引で生じた損失との相殺も可能

税制上、仮想通貨で得た利益は雑所得に仕分けられ、雑所得同士であれば利益と損失の相殺が認められています。たとえば、金融庁の登録がない海外FXで生じた損失も雑所得に計上されるため、仮想通貨取引による利益との相殺が可能です。

 

4.4. ふるさと納税を利用して所得から差し引く

仮想通貨取引による利益は「所得税」の対象となります。つまり、ふるさと納税をはじめとした所得税控除も節税対策として有効な手段といえます。

 

節税方法は仮想通貨に直接関連していなくても問題ありません。「所得税の節税」という大きな枠で捉えると幅広い節税が可能になるでしょう。

5. 仮想通貨に関わる税金や確定申告についてのよくある質問

(※画像はイメージです/PIXTA)
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ここからは、仮想通貨に関わる税金や確定申告について、よくある質問と対処方法を解説していきます。自分自身が同じ疑問を持つ可能性は十分あり得るので、最低限の知識として覚えておきましょう。

 

Q1. 仮想通貨の取得価額の計算方法は?

仮想通貨の取得価額は、支払対価に手数料などの付随費用を加えた額になります。たとえば、国内取引所において、10万円分のビットコインを購入し、手数料として1万円を支払った場合、取得価額は10+1=11万円とするのが正しい計算方法です。

 

取得価額は、税金を算定するうえで、利益から差し引くことができる大切な数字になります。そのため、過去の取引データは付随費用も含めて記録しておくようにしましょう。

 

Q2. 仮想通貨の分裂(分岐)で仮想通貨を取得した場合の対処法は?

仮想通貨は分裂(分岐)を起こすケースがあります。具体的には、ビットコインからビットコインキャッシュが誕生したのが有名な分裂です。分裂によって、新たに誕生した通貨も手に入るため、税金の取り扱いに悩む人も多いでしょう。

 

結論としては、分裂によって生じた通貨を取得しても、課税対象となる所得は発生しません。分裂した瞬間、新たに誕生した通貨に市場価値はないと考えられるからです。ただし、売却した際には、取得価額0円として所得が発生する点には注意しておきましょう。

 

Q3. 確定申告をせず正しい税金を払わなくてもばれない?

仮想通貨はときに、莫大な利益を生み出しますが、税金の負担割合も大きいのがネックといえるでしょう。ですので、確定申告をせずに納税の義務を免れようと考える人もいますが、それは絶対にやってはいけない行動です。

 

納税が行われていないことが判明したときには、無申告加算税や延滞税といった罰則を受ける可能性があります。支出を減らすための嘘が、さらなる支出を呼んでしまいます。罰則によって生じる税金の負担割合は決して小さくないので、確定申告は必ず行いましょう。

 

Q4. 仮想通貨の確定申告で認められる必要経費は?

仮想通貨取引において、必要経費として認められるものは少なくありません。通貨の取得に要した費用はもちろん、インターネット回線の利用料や、パソコンの購入費用などが必要経費に該当します。また、家事と業務の両方に関連する費用についても、明確な区分ができる場合は、必要経費としてのカウントが可能です。

 

ただし、取引を行うために必要な支出であると証明できることが前提となります。一個人では線引きが難しい場合もあるので、状況によっては、専門家の判断に頼るのもひとつの方法です。

6. まとめ

(※画像はイメージです/PIXTA)
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本記事では、仮想通貨と税金の関係について詳しく解説をしてきました。せっかく獲得した利益を少しでも守りたいという気持ちが生じるのは当然ですが、納税は義務であり、必ず守るべきものであることを忘れてはいけません。

 

しかし、納税の負担をできる限り抑えるための方法はあります。しかるべき節税対策をとれば余計な支出を合法的に避けられるので、本記事を参考に、正しい知識を身につけておきましょう。