フィリピンが投資対象国として評価される理由
超高齢化社会へ突入し、円安も進む現況のなかで、国内投資家の多くが海外投資を実践している。タイやマレーシアなど、東南アジア諸国の不動産に注目する投資家は多いが、そのなかでもフィリピンに注目したのはなぜなのか。
月生田「フィリピンの魅力は、成長の一途を辿っている国ならではの高いポテンシャルです。現在、フィリピンの人口は1億1,250万人超ですが、2年前は1億960万人でした。単純に計算すると、年間で約150万人も増加したことになります。日本でいうと毎年川崎市や福岡市が誕生しているという計算です。特に人口が集中する首都マニラでは、不動産の供給が需要に追い付かないという現象が発生しています」
そんなフィリピン人口の平均年齢は、23.5歳。日本の48.6歳と比べて、25歳も若い。その活力がフィリピン不動産の価値を下支えしていると、月生田氏は分析している。
月生田「不動産業界では『タイムマシン投資』という言葉がよく使われます。アジア諸国の不動産に投資する際、かつて日本が経験した高度経済成長のカーブを想定しつつ、利益を計算していくという考え方です。
2000年代はタイのバンコクやマレーシアのクアラルンプールの不動産に、タイムマシン投資の効果が期待されていました。しかし現在、同エリアの物件価格は高どまり状態。人口もピークアウトの兆しがみえます。逆に、フィリピン不動産はまだまだ安価です。さらに前述のとおり人口は増え、住宅ニーズも旺盛。ここにチャンスがあるのです」
フラッグシティパートナーズによるフィリピン不動産の累計販売数は、500件以上。フィリピン不動産を取り扱う業者でNo.1の売上を誇る。現在は月間30~40件の新規購入に対応しているが、その高いポテンシャルを正確に把握している投資家はまだまだ少ないと、月生田氏はみている。
月生田「逆にいうと、知名度が上がってきてから投資するようでは、もう遅いといえます。現在フィリピンには日本だけでなく、中国からも多くの投資家が参入してきているからです」
ドゥテルテ政権の終焉が不動産へおよぼす影響
人口の増加傾向は、不動産投資の有力な検討材料となる。しかし、それだけでは不十分だ。特に経済成長の過渡期にあるASEAN諸国への投資に、漠然とした不安を感じる投資家も多いだろう。
月生田「およそ36年前に発生した駐在日本人の拉致事件などを背景に、マニラは危ない場所というイメージを抱く人が多いようです。しかしドゥテルテ元大統領が実践した積極的な取り組みの結果、治安は大きく改善されました。
弊社はマニラで再開発の進んだ『BGC』というエリアに、オフィスを構えています。高級ショッピングモールや高級ホテル、外資系大手が立ち並ぶエリアで、現在は夜中に女性が独り歩きをしていても問題が起きないほど、治安がよくなっています」
ときに「超法規的」と批判されることも多かったドゥテルテ大統領の政策だが、治安改善に伴った経済効果の大きさを無視することはできない。治安の改善が、金融を中心とする外資系企業の参入を活性化させたのは紛れもない事実で、近年のマニラにはアメリカン・エクスプレスやJPモルガンといった大企業の支店が、続々と立ち並ぶようになっている。
月生田「外資系大企業の進出が実現すると、不動産市場も活性化していきます。『高級物件を駐在員の社宅として、高額賃料で借り上げる』というケースが発生し、外貨が流入するからです。また相乗効果で周辺不動産の家賃が上がる、高級スーパーやレストランが開店して雇用が発生するなど、さまざまな波及効果も生まれていきます」
日本企業も例外ではなく、2021年12月に『ホテルオークラマニラ』がオープンしたほか、「みずほ銀行が、フィリピンのデジタル銀行に出資」、「複数の日本企業が参加したフィリピン初の地下鉄が、年内に部分開通」などのニュースが伝わってくる。また街中にはユニクロや丸亀製麺、セブンイレブンなど日系大手企業の店舗も数多くみられるのだとか。
月生田「マルコス新大統領は、前政権の政策維持を公約としています。またドゥテルテ前大統領の娘・サラ氏が副大統領を務めるという布陣ですから、新政権で大きく政情が変わることはないでしょう。日本の皆様にも、安心してフィリピン不動産への投資を検討していただけると思います」
フィリピン不動産投資で「儲けて、納税する」
ここまで紹介してきたように、認知度はまだそれほど高くないフィリピン不動産投資。しかし、自ら情報収集に動き、実際に投資の一歩を踏み出した国内投資家も多い。
現在、フラッグシティパートナーズと取引する彼らは、フィリピン不動産のどのような点に惹き付けられているのだろうか? 投資家の声について伺ってみた。
月生田「フィリピン不動産は、自己資金を抑えながら投資を成立させようと熟慮を重ねる方々の目に、魅力的に映るようです。
近年は、スルガショックの影響などもあり国内の不動産ローンが非常に厳しい状況となっています。場合によっては、自己資金を半分近く入れないと審査が通らないというケースさえあります。
また、投資用不動産について『節税=赤字が出ている』こととしていれば本末転倒。なぜなら投資というものは利益を出すためのもの。現在のフィリピン不動産であれば、それが可能なのです」
治安の改善や国民平均年齢の若さ、人口ボーナスなどにより、ASEAN諸国のなかでも一際注目を集めるフィリピン。特にマニラは旺盛な住宅需要に供給が追いついておらず、今後さらなる不動産価格の高騰が予想されることから、いまのうちに投資を検討するとよさそうだ。
月生田 一成
フラッグシティパートナーズ株式会社
代表取締役社長