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2008年10月に「サトシ・ナカモト氏」が論文を発表したことで多くの開発者によって「ビットコイン」が作られました。そして、これまでに数多くの仮想通貨(暗号資産)が誕生しました。
仮想通貨は、今では投資方法のひとつとして注目されており、しっかり世界の様子をリサーチすることが大切です。
本記事では、海外取引所のサービスを中心に解説します。
1. 海外仮想通貨取引所とは?
海外仮想通貨取引所とは、海外に本社を置く取引所です。日本円を使うことはできず、外貨や仮想通貨を使って取引します。日本国内の取引所よりも多種多様な売買ができるものの、デメリット面には気を付けなければなりません。
海外の取引所は種類によって取引スタイルも変わるため、入念に調べてから登録の手続きを行いましょう。
1.1. 仮想通貨の海外取引所は2つの種類がある!
海外仮想通貨取引所の種類は、「中央集権取引所(CEX)」と「分散型取引所(DEX)」の2つがあります。それぞれの大きな相違点が「情報を管理する方法」です。CEXの場合は、中心の取引所を構えて投資家の個人情報の記録に用いる暗号キーを集めます。
一方で、DEXは利用者がデータを管理するスタイルです。各々の特徴を掘り下げて説明します。
1.2. 中央集権型取引所(CEX)
CEXで仮想通貨を運用するときは、自身の情報を管理するための「暗号キー」を取引所に渡します。投資家が紛失して投資できなくなる事態を防ぐためです。暗号キーの管理を気にせず、取引に集中できる点がメリットです。
ただし、投資家のすべての情報が取引所にあることで、トラブルに巻き込まれる危険性もあります。もし、取引所が悪質なサイバー攻撃を受けた場合、全員のデータが一気に流出するケースも覚悟しなければなりません。
1.3. 分散型取引所(DEX)
DEXは暗号キーの管理を利用者に委ねるタイプの取引所です。CEXとは異なり、1ヵ所にデータを集めるわけではないため、サイバー攻撃による個人情報の大量流出のリスクは極めて低いといえます。取引所にシステムトラブルが発生しても、売買には影響がありません。
ただし、暗号キーの取り扱いには注意が必要です。これまでの履歴がすべて集積されているほか、紛失すると新しいデータを記録できなくなってしまいます。
2. 海外取引所では国内とは違う法律や規制が存在する
海外取引所を利用する際には、法律や規制に気を付けなければなりません。国内取引所とはルールがまったく異なるため、投資スタイルにも大きな影響を及ぼす可能性があります。
ここでは、海外と日本の取引所で採用されるルールの違いの具体例を出します。
仮想通貨の取引方法のひとつに「レバレッジ」を使った取引が挙げられます。元手に倍率を乗じることで、高額な売買ができる取引方法です。
日本の場合は、「金融商品取引法」の定めにより2倍までしかレバレッジをかけられません。一方で、海外では制限がなく、100倍以上のレバレッジを設定している取引所も存在します。
3. 仮想通貨の海外取引所を利用するメリット
海外取引所は、国内取引所よりも自由な取引方法を試せるところが全体的なメリットです。制限が少ないため、目的に応じてさまざまな投資方法を試すことができます。
また、銘柄数が多いだけでなく、手数料を踏まえた取引価格も安くて利用しやすい点も強みです。これらの内容について、具体的な数値を取り上げながら解説します。
3.1. 取引できる銘柄が多い
表を見てもわかるように、海外取引所と国内取引所の取引できる銘柄数は約100種類以上の差があります。海外には日本ではまず取り扱っていないマイナーな通貨も多く、投資の幅が広いのが特徴です。
とはいえ、数多い仮想通貨のなかには「詐欺コイン※」が隠れているケースもあるため、注意が必要です。
※ 詐欺コイン…市場に公開されていない銘柄で、投資家から資金を騙し取る目的で作られたもの
3.2. 取引価格が比較的安い
海外取引所は、国内取引所よりも取引価格が全体的に安くなる点も強みです。仮想通貨の売買では、銘柄の価格のみならず手数料などさまざまな費用がかかります。とはいえ、各取引所で大差はありません。
しかし、実際には「スプレッド」によって取引価格も変わります。スプレッドとは、仮想通貨を購入した費用と売却した費用の差額です。海外取引所のほうが差は小さく、総合的に取引価格が安くなると考えられています。
3.3.「ゼロカットシステム」がある
海外取引所のメリットとして、投資で損した分を保証する「ゼロカットシステム」があることも挙げられます。仮想通貨は値動きが激しく、一気に損失が発生する危険性も懸念すべきです。通常は、余計なロスを防ぐために強制決済を行う「ロスカット」が行われます。
しかし、タイミングによっては決済が間に合わなくなる可能性もゼロではありません。このようなケースに備えて、損失分を保証する仕組みが「ゼロカットシステム」です。
4. 仮想通貨の海外取引所を利用するデメリット・リスクは?
海外取引所は、投資家を支えるサービスが豊富に用意されています。ただし、必ずしもデメリットがないわけではありません。国内取引所と比べた場合、特に初心者の利用はリスクが大きいといえます。
日本の法律が適用されず、いざトラブルに巻き込まれても助けてもらえるとは限りません。具体的なケースを取り上げて説明していきます。
4.1. 詐欺・ハッキングなどに合う可能性がある
まず、海外取引所で仮想通貨を売買する際に注意すべきポイントは、詐欺やハッキングのリスクです。海外はハッカーも極めて活発的で、たびたびサーバーを攻撃して取引に悪影響を及ぼします。2016年にもアメリカの「Bitfinex」がハッキングされ、4,600億円相当のビットコインが盗まれました。
このような事件に巻き込まれると、預けている個人情報が拡散されるリスクもないとはいえません。国内取引所と比べて、やや安全性は低いと考えておきましょう。
4.2. レバレッジが高く、大金を失う可能性も
前述したとおり、海外取引所は日本と比べて「レバレッジ」が高いところも重要な相違点です。
実際に保有している金額よりも多い資金で投資を始められるものの、価格が暴落したときに大きく左右されてしまいます。100倍の倍率をかけた場合、たとえ1,000円分の取引でも10万円分を失うかもしれません。そのため、レバレッジを高く設定するときは、なるべく元手を少ない状態で売買しましょう。
仮想通貨の値動きは、プロでも簡単に読み取れるものではありません。常に一定のお金を失うリスクは念頭に置いたほうが賢明です。
4.3. 日本の金融庁が注意を促している
海外取引所を使う日本人に対して、金融庁は何度も注意を促しています。なかでも、有名な事例が「バイナンス」への警告です。バイナンスは日本でも広く認識されていますが、かつては日本語の使用を禁止するようアナウンスが行われていました。
ほかにも、金融庁の資料に目を通すと、数々の海外取引所に関する注意喚起がされています。このような取引所を利用しても罰則はありませんが、トラブル時にリスクが大きくなるため取引を控えましょう。
5. 日本人に使いやすい仮想通貨の海外取引所を選ぶポイント
ここまで海外取引所のメリットやデメリットを挙げましたが、「日本人が使いやすい」取引所を選んだほうが得策です。いくら豊富な銘柄数が用意されていたり、取引価格が安かったりしても、全体的に取引所のサイトやアプリが使いづらいとスムーズな取引が難しくなります。
では、具体的に使いやすさを重視した取引所の特徴についてまとめていきます。
5.1. スマホアプリがあるかどうか
海外取引所のなかでも、スマホアプリがあるところは使いやすいです。仮想通貨の価格を調べるうえでも、なるべく手軽に確認できるほうが便利です。Webサイトからのアクセスでは、ブラウザの起動から検索まで一定数の時間がかかってしまいます。
また、アプリをインストールすると売買も迅速にできます。ボタンをタップするだけでも、簡単に手続きを行うことが可能です。操作しやすいスマホアプリのある取引所を優先的に検討しましょう。
5.2. 日本語に対応しているかどうか
日本語に対応しているか否かも外せない選択肢です。外国語に慣れていなければ、サイト内を細かくリサーチすることも難しくなってしまいます。安全な取引のためにも、なるべく日本語を扱っている取引所を選びましょう。
なお、金融庁が警告を出した取引所はサイト内で日本語を使えません。利用することも「違法」と認識されているため、控えるようにしましょう。
6. 仮想通貨の海外取引所を一覧で紹介!おすすめは?
ここでは、おすすめの仮想通貨の海外取引所について一覧で紹介します。取引所のサービスも考慮すべきポイントですが、最も大切なことは自分自身との相性です。開設を検討してもいい海外取引所を5つ紹介します。
①『BNANCE(バイナンス)』
日本人にとってサービスを利用しやすい海外取引所のひとつが、「バイナンス」です。600種類以上の銘柄が用意されており、売買できる仮想通貨のペアは1,000以上にものぼります。
2021年6月、日本の金融庁によりバイナンスは警告が出されました。一時期は日本語の使用も禁じられたものの、関係が改善されたためか、現在は特に制限がありません。
②『Bybit(バイビット)』
バイビットは約130ヵ国の投資家に利用されており、規模が極めて大きい海外仮想通貨取引所です。レバレッジが100倍と高く設定されているため、少額でも多大な利益を得られる可能性もあります。
日本人の利用者に使いやすく作られている点が特徴であり、日本語にも対応しています。また、サーバーが落ちたケースもほとんどありません。
③『MEXC(MXC)』
MEXC(MXC)は、レバレッジが125倍とバイビットよりも高く設定されている取引所です。2018年に設立され、2019年に規模が大きく拡大されました。
日本で金融ライセンスを取得しているわけではありませんが、日本語には対応しています。ユーザー数も600万人以上おり、世界中で利用されています。
④『BaseFEX』
BaseFEXは、100倍まで幅広く設定されている「レバレッジ」に加え、取引画面が非常に見やすい取引所です。通貨の値動きをグラフに示したチャートが明確に表示され、具体的な数値の記載も整理されています。
あわせて、取引所とは無関係の人が試験的に操作する「βテスト」を取り入れている点も強みです。この取り組みは、セキュリティ面を強化するために用いられています。
⑤『BITFINEX』
BITFINEXは、日本円を扱っている極めて珍しい海外取引所です。外貨やビットコインなどに換金する必要がないため、スムーズな売買が可能です。
また、数々のサービスのなかでも主に「レンディング」が強みです。レンディングは取引所から仮想通貨を借りて、ほかの利用者との売買に用います。取引方法の幅が広がる制度です。
7. 仮想通貨の海外取引所に関するよくある質問
仮想通貨の海外取引所の特徴を紹介しましたが、わかりやすく質疑応答の形で整理します。専門的な内容もたくさん紹介しましたが、とりあえずは基本的な内容を押さえることが大切です。重要なルールを把握して、トラブルに巻き込まれないよう準備しましょう。
Q1. 海外取引所を利用するのは違法ではない?
海外取引所を利用すること自体は違法ではありません。むしろ、日本人も積極的に使っています。取引所側も世界各国からの利用を想定しており、さまざまな国の言語が用意されています。
ただし、金融庁が警告を発した海外取引所には注意が必要です。日本語の使用を禁止されているケースもあります。罰則はないものの、利用は控えたほうが賢明です。
Q2. 日本円での入出金はできる? ドルでの入金のみ?
基本的に海外取引所では、日本円を入出金できません。ドルなどの外貨やほかの仮想通貨に、一度交換する必要があります。換金するためには、国内取引所を開設することもひとつの方法です。
たとえば、日本の仮想通貨取引所で日本円をビットコインに交換します。手に入れたビットコインを海外取引所で使えば問題なく取引が可能です。必ずしも、ドルと交換しなければならないわけではありません。手続きしやすい方法で、海外で使える通貨をあらかじめ入手しましょう。
Q3. 取引をするうえで、リスクを抑えるために必要なことは?
海外取引所で取引するうえで注意しなければならないポイントは、下記の2点です。
- 詐欺コインに気を付ける
- 少額投資を心がける
まず、海外取引所は非常に多くの銘柄を取り扱っています。しかし、なかには信頼性がまったくない詐欺コインが出回っているかもしれません。無駄な費用を支払う危険もあるため、通貨については事前に勉強しておきましょう。
また、世界中の投資家が集まることによる価格の大幅な変動を常に警戒すべきです。このようなリスクも考慮した場合、少額投資が望ましいです。
Q4. 海外取引所で取引する場合の税金はどうなる?
海外取引所を利用する場合でも、所得が20万円を超えたら税金は支払わなければなりません(給与所得や退職所得以外の所得と合算して税額が決まるため注意)。
一般的には、「雑所得」の対象です。仮想通貨で利益を得た収入から、手数料などの必要経費を差し引いた額が所得として扱われます。
特に、ある通貨から別の銘柄に交換した場合も確定申告が必要となる点に注意しましょう。申告を忘れてしまうと、追加で15%〜20%の罰金が科される場合もあります。
Q5. 税金を払わなくてもバレないって本当? 税金対策は?
日本の国税庁は、海外から税収に関する情報を取り寄せられます。つまり、「バレない」と考えることは極めて浅はかです。クレジットカードに取引履歴も記録されるため、申告内容と大きく乖離していたら警戒されます。
税金対策としては法人の設立により、「法人税」で納めることが一般的です。とはいえ、税金のプロである税理士に相談したほうがより最適な手段を選べます。
8. まとめ
海外取引所は、国内取引所にはないメリットがたくさんあります。特に、用意されている銘柄数の多さやレバレッジの高さにより、多種多様な投資スタイルが試せる点は魅力的です。
しかし、日本の法律が適用されないこともあるため、リスクも高くなってしまいます。そのため、初心者の方はなるべく国内の取引所で始めるようにしましょう。