(※画像はイメージです/PIXTA)

アメリカでは過熱するインフレに対応するため、一度に0.5%の金利引き上げが決定しました。経済への影響が心配されるなか、政策が色濃く反映される雇用についてはどうなのでしょうか。みていきましょう。

FRB、22年ぶりとなる0.5%の金利引き上げを発表

2022年5月5日、FRBは政策金利を0.5%引き上げ、0.75%~1.0%の範囲を誘導目標とすることを発表しました。通常、政策金利は0.25%ずつ引き上げられてきており、一度に0.5%引き上げるのは、2000年以来22年ぶりの措置です。

 

ジェローム・パウエル議長は記者会見で、「インフレが過熱しており、それが(国民に対して)困難を引き起こしていることを承知している」「それを元に戻すために迅速に動いている」と説明しました。米国のインフレ率は3月に8.5%に達し、年率ベースで1981年以来最高の水準に達しました。これは、FRBが設定したインフレ目標である2%をはるかに上回っており、バイデン政権にとって大きな課題となっています。

 

政策金利の引き上げにより、銀行から企業や個人への融資利率も上昇します。それにより、企業の投資や個人の購買が抑制されるため、商品やサービスの需要が低下、物価上昇を緩和するとされています。

 

一方で、需要の低下は経済減速を引き起こす可能性もあります。ウクライナ情勢や中国のコロナ対応などの経済リスクがある今、適切な金利引き上げ率を見極めるのは非常に困難です。

雇用者数は続伸、失業率は安定

株価の低迷をはじめ、米国経済に混乱が生じているなか、4月の米国国内の雇用は引き続き堅調でした。労働省の発表によると、雇用者数は42万8000人増加し、失業率は3.6%で安定。雇用者数の増加は予想を上回り、16ヶ月連続の増加となりました。

 

経済低迷期に金利引き上げを行うと、人件費抑制のために雇い止めや新規採用の停止を行う企業が増えます。そのため経済専門家の多くは、現在の好調な雇用を、企業が金利引き上げに耐える体力があることの裏返しであると見ているようです。世界的な経済リサーチ企業であるOxford Economics社の米国担当チーフ・エコノミスト、キャシー・ボストヤンシック氏は、「これで軌道に乗ることができる」と楽観的な見解を示しました。

本記事は、富裕層のためのウェブマガジン「賢者の投資術」(Powerd by OPEN HOUSE)にて公開されたコラムを、GGO編集部にて再編集したものです。

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