小児科クリニックにて診療をする傍ら、オンライン診療プラットフォーム「イシャチョク」を開設した現役医師 ”日本一忙しい小児科医”こと鈴木幹啓がリアルな医療現場を解説

小児科クリニックにて診療をする傍ら、オンライン診療プラットフォーム「イシャチョク」を開設した現役医師 ”日本一忙しい小児科医”こと鈴木幹啓がリアルな医療現場を解説

 

質問1 有識者のプロフィール

イニシャル:M.S

肩書:医師、株式会社オンラインドクター.com代表取締役

経歴:
2001年3月 自治医科大学卒業 三重大学小児科入局
2001年5月 三重県立総合医療センター(小児一般病棟、新生児集中治療室、小児救急担当)
2003年4月 国立病院機構三重中央医療センター(新生児集中治療室担当)
2003年10月 国立病院機構三重病院(小児急性期病棟、アレルギー・糖尿病・腎臓病慢性期病棟、重症心身障害児病棟担当)
2004年4月 紀南病院(小児科医長)
2006年4月 山田赤十字病院(小児一般病棟、新生児集中治療室、小児救急担当)
2007年4月 紀南病院(小児科医長)
2010年5月 34 歳で和歌山県新宮市に「すずきこどもクリニック」を開院
2020年10月 株式会社オンラインドクター.com設立

 

資格:医師 書籍:

『日本一忙しい小児科医が教える 病気にならない子育て術』(双葉社)

『開業医を救うオンライン診療』(幻冬舎メディアコンサルティング)

 

質問2 業務内容

自らが開院した小児科の「すずきこどもクリニック」にて診療にあたっているほか、全国のクリニックに対してオンライン診療 を浸透させるべく、オンライン診療プラットフォーム「イシャチョク」を立ち上げ導入のサポートなどを行なっています。東京はもちろん、全国の医療現場の稼働状況やコロナ感染者の自宅・宿泊診療状況などについて把握し、イシャチョクのサービス内容を拡充させています。

 

質問3 現在の医療現場について

総合病院などの二次、三次医療機関の医師および看護師は常に緊張との隣り合わせで、当然疲弊しているし、全国的に病床数も逼迫している。

自宅療養者が溢れかえっているのに、打つ手段が訪問診療かオンライン診療しかない。訪問診療は1日掛けて回れるのが最大20件に留まる。準備、移動時間、感染予防対策などさまざまなハードルがあり、すべての一次医療機関に任せるのには物理的に無理がある。かといって、オンライン診療を実施するにあたってもシステムの導入申し込みまでにおよそ2週間。システムの使用方 法のレクチャー予約におよそ2週間。今すぐに実施しろと言われても実施できない状況にある。

 

現在、日本全国では10万もの一次医療機関があるにも関わらず、オンライン診療システム導入医療機関は5%の5000に留まる。システム導入していない医療機関がオンライン診療を実施しようとすると電話での診察ということになる。これでは、急変なら びに急死がありうる。新型コロナ感染症患者のトリアージには到底不向きである。現在、電話での診察と動画での診察対する診 療報酬点数は同額である。政府は、オンライン診療の時限措置として新型コロナ感染症患者を診察する場合、診療報酬点数を 2~4倍に引き上げたが、医師側としては結局電話診療という簡単ではあるが不十分なオンライン診療しか提供できてない。

 

オンライン診療と対面診療では、オンライン診療の方が医師側にスキルが必要とされるにも関わらず、現状新型コロナ感染症患 者以外の診療報酬点数は5~7割程度である。よって、普及していないにも関わらず、急にオンライン診療頼みに方針転換されて も良い方向に進んでいない。 国の政策として、医学部の入学条件に感染症専門家を育成する特別枠を設けると表明しているが、今やるべきことは全ての一次医療機関がオンライン診療を行うインセンティブを与えるために診療報酬点数を上げるべきである。

 

クリニックも経営が大事だから、すぐに手軽に対応できる電話診察を取っているが、これでは本来の動画でのオンライン診療の浸透に歯止めをかけるのではないかと懸念している。

 

質問4 今後の医療現場についての個人の見解

オンライン診療というのは、自宅にいながら診察を受けることができ、服薬指導および薬の配達まで一気通貫にできる、非常に 患者にとって利便性の高いツールである。 医療のDX化の流れは、患者ニーズから考えて進むに違いないが、そのスピードを握っているのは診療報酬点数である。 本気で政府がオンライン診療を推進していく時期が再度訪れるであろう。 それは、世論の突き上げであったり、国際比較であったり、オンライン診療後進国である日本に突きつけられる命題である。と予想する。

 

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