「相続争いなんて金持ちだけのこと」というのは認識違い。裁判所の資料によると、「遺産が少額でも相続争いは起きる」という事実がみえてきました。裁判沙汰にまで発展した相続の実情をみていきましょう。
遺産相続が裁判に発展!都道府県「相続争い」調査…件数1位「東京都」、人口比1位「愛媛県」 (※写真はイメージです/PIXTA)

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富裕層だけじゃない!お金がなくても相続で揉めることは多い

――泥沼の遺産相続

 

ドラマや映画などで聞くような言葉で、多くの人が自分には関係のない話、だと思うでしょう。「遺産争いなんて、お金のある人だけの問題でしょ」というのが、その理由です。

 

しかし相続は「ある人が亡くなったとき、その人の財産を引き継ぐ」こと。亡くなった人が借金を抱えている場合、それも相続の対象になります。お金がなくても相続は発生するので、「親の借金、どうする?」などと、遺族の間でひと悶着……ということも珍しくありません。

 

遺産を相続する人である「相続人」は、法律で決められています。まず配偶者は無条件で相続人になります。法律婚をしている配偶者でなければならないので、事実婚の場合は相続人にはなれません。

 

それ以降の相続には優先順位があり、順位が高い人が相続人になります。第1順位は子ども。子どもが死亡している場合は、孫が相続人となります(代襲相続といいます)。子どもも孫もいない場合は、第2順位である両親。さらに両親が亡くなっている場合は、祖父母が代襲相続人となります。両親も祖父母もいない場合は、第3順位の兄弟姉妹。その兄弟姉妹が亡くなっている場合は、甥や姪が代襲相続人となります。

 

相続人が1人であれば問題ありませんが、お金が絡めば親族同士が仲が良くても争いに発展することも珍しくありません。裁判所『令和2年司法統計』によると、遺産分割事件で焦点となった遺産が1,000万円以下というのが34.7%。家庭裁判所にまで持ち込まれた、こじれにこじれた相続問題のうち、3分の1は遺産1,000万円以下。実家が持ち家であれば、十分に考えられる金額です。

 

【遺産分割事件「遺産価額」の割合】

「1,000万円以下」34.7%

「5,000万円以下」42.9%

「1億円以下」11.3%

「5億円以下」6.4%

「5億円以上」0.6%

「算定不能・不詳」4.1%

 

出所:裁判所『令和2年司法統計』より作成

 

また審理期間をみていくと、「6ヵ月~1年以内」が最も多く34.1%。続いて「1~2年以内」が26.7%。「3年以上」も3.0%と、長期戦に及ぶ場合も。やはりお金が絡むこと、裁判に発展するほどこじれると、解決するには時間が必要のようです。