世界でも日本の現役時代と老後の「収入ギャップ」は大きい
世界の主要国と日本の「年金所得代替率」を比較しています。年金所得代替率は現役時代の手取り収入に対する年金の給付額の割合のこと。収入の低い人は代替率が高くなり、収入が高い人は低くなる仕組みになっています。
OECDの発表によると、対象国のうち最も年金所得代替率が高いのは「トルコ」。「ブラジル」「ハンガリー」と続きます。前出の通り、収入が低いと代替率が高くなる、ということから当然の結果だと感じるでしょうが、北欧の国がベスト10にランクイン。一概に収入が低い国だからといって上位、というわけではないようです。
【世界主要国の「年金所得代替率」】
1位「トルコ」103.30%
2位「ブラジル」97.30%
3位「ハンガリー」94.00%
4位「中国」92.40%
5位「ポルトガル」90.30%
6位「オランダ」89.20%
7位「アルゼンチン」88.90%
8位「ルクセンブルク」88.70%
9位「オーストリア」87.10%
10位「デンマーク」84.00%
出所:OECD
※対象:全50ヵ国
さらにG7だけで比較してみると、最も年金所得代替率の高い国は「イタリア」。続いて「フランス」。日本は第7位と、世界の主要国の中でも年金と現役時代の給与との差が大きな国のひとつです。
【G7の「年金所得代替率」】
1位(12位)「イタリア」81.70%
2位(16位)「フランス」74.40%
3位(31位)「イギリス」58.10%
4位(36位)「ドイツ」52.90%
5位(40位)「米国」50.50%
6位(41位)「カナダ」46.40%
7位(45位)「日本」38.70%
出所:OECD
※(かっこ)内順位は、世界主要国ランキングの順位
定年後、現役時代の4割にもみたいない金額でやりくりしないといけないわけですから、日本人は大変です。
「アメリカやカナダも現役時代の半分程度なのだから、同じようなもの」という人もいるでしょうが、両国とも私的年金の割合が多く、これを含めると、年金所得代替率は7割を超えます。一方、日本では確定拠出年金制度をはじめ、徐々に私的年金の考え方が浸透し始めていますが、普及率は低く、現役時代と年金時代の収入ギャップを生めるまでにはなっていません。
現役時代と老後の収入ギャップ。年金生活に切り替わるタイミングで生活水準を見直すか、そのギャップを埋めるために早めの資産形成に取り組むか。日本人に与えられた選択肢は2つです。