日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回は「平均賃金(時間給)」と「最低賃金」について見ていきます。
10月「最低賃金引上げ」にため息する、給与が上がらない会社員の悲哀 ※画像はイメージです/PIXTA

「フルタイムの平均賃金」と「最低賃金」の差は是正されてきているが…

最低賃金についてみてきましたが、世界と比べると、どのような水準なのでしょうか。フルタイムの平均賃金を100とした場合の法定最低賃金の比率を見ていきます。

 

主要国で最低賃金の水準が低いのが「米国」で31.6%。「アイルランド」42.1%、「チェコ」43.0%、「エストニア」44.0%と続き、第5位が「日本」が44.0%。世界の中でも日本は最低賃金の水準が低い国、つまり賃金格差の大きい国だといえます。

 

【主要国「最低賃金水準」ワースト10】

1位 米国 31.6%

2位 アイルランド 42.1%

3位 チェコ 43.0%

4位 エストニア 43.3%

5位 日本 44.0%

6位 ギリシャ 45.2%

7位 メキシコ 46.0%

8位 ベルギー 46.6%

9位 ラトビア 47.2%

10位 オランダ 47.3%

 

出所:OECD

 

しかしこの賃金格差、時系列で見ていくと、バブル期後期の1990年は29.9%。現在の米国程度の格差がありました。しかし2000年代に入ると徐々に格差は縮まっていき、2016年には40%を超えるようになりました。

 

段階的に最低賃金を引上げを行ったことによる格差是正……そういえば聞こえはいいですが、そもそもフルタイムの賃金も上がっていれば、最低賃金が上がっても格差はここまで縮まらないはず。

 

国税庁『民間給与実態統計調査』で会社員の年収の推移を見ていくと、1990年代後半をピークに減少。2010年代に入ってからは、アベノミクス効果から年収の上昇が見られましたが、ピーク時よりも7%減となっています。格差是正は、最低賃金の引き上げ効果と、どんなに働いても一向に上がることのない会社員の給与によるものだといえます。

 

【日本の会社員の年収の推移】

1990年 425万2000円(105.7%)

1995年 457万2000円(100.4%)

2000年 461万0000円(99.9%)

2005年 436万8000円(99.5%)

2010年 412万0000円(101.5%)

2011年 409万0000円(99.3%)

2012年 408万000円(99.8%)

2013年 413万6000円(101.4%)

2014年 415.0万円(100.3%)

2015年 420.4万円(101.3%)

2016年 4216万円(100.3%)

2017年 432.2万円(102.5%)

2018年 440.7万円(102.0%)

2019年 436.4万円(99.0%)

 

出所:国税庁『民間給与実態統計調査』

(かっこ)内は前年比

 

「私たちの給与もあがらないものか……」。最低賃金引上げのニュースと共に、会社員たちのため息が聞こえてきそうです。