日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回は、「現役時代と定年後の収入ギャップ」を考えていきます。
年金だけじゃ暮らせない…平均受給額「14万4064円」に高齢者の苦悩 ※画像はイメージです/PIXTA

65歳の平均年金受給額…国民年金5万7440円、厚生年金14万4064円

――年金だけじゃ暮らせない!

 

そんな悲鳴に近い声を聞くことは結構あるでしょう。厚生労働省『令和元年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、国民年金の受給者は3262万3411人で、平均年金額は月5万5946円。厚生年金保険(第1号)の受給者は1538万9876人で、平均年金額は月14万4268円。

 

【年齢別老齢年金受給権者数及び平均年金月額】

60歳 3万8663円/9万1304円

65歳 5万7440円/14万4064円

70歳 5万6947円/14万7292円

75歳 5万6056円/14万7957円

80歳 5万6853円/15万8309円

85歳 5万5958円/16万2964円

90歳 4万9232円/16万1044円

 

出所:厚生労働省『令和元年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』より

 

一方、総務省『家計調査家計収支編2020年』によると、世帯主65歳以上無職世帯(世帯人員2.37人、持ち家率93.1%)の「公的年金受給額」は平均20万3259円。「消費支出」は23万0514円、社会保険料など「非消費支出」3万3148円。統計では公的年金のほか、個人年金などからの収入もあり、全体としては2394円とわずかながら黒字を記録しています。

 

このように統計の平均値から、日本の高齢者は「公的年金プラスα」で生活ができている、という現状が見えてきました。確かに年金だけでは暮らせないかもしれませんが、そこそこの生活はできている、ということかもしれません。

 

一方で、年金についてはこんな嘆きも聞こえてきます。

 

――こんなに年金が少ないなんて

 

初めて手にした年金に対しての声でしょうか。前述の平均値からすると、14万円ほど。確かに多いとは言い難い金額です。

 

厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』によると、大卒の男性会社員の場合、20代前半で334万2100円だった年収は、年齢とともにあがっていき、50代前半に869万0100円でピークに。年金生活直前の60代前半では569万2200円となっています。


 

【大卒会社員(男性)の推定平均年収】

「20~24歳」334万2100円

「25~29歳」440万4900円

「30~34歳」523万4900円

「35~39歳」610万3500円

「40~44歳」687万6100円

「45~49歳」758万6300円

「50~54歳」869万0100円

「55~59歳」835万6000円

「60~64歳」569万2200円

 

出所:厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』より

前述のデータから考えると、1年で手にする年金額は173万1216円。年収569万2200円から3分の1程度になってしまうわけですから、「年金、少ない!」と思うのも仕方がないことかもしれません。