日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回、焦点をあてるのは「役職者の給料」。いまの会社で肩書が上がっていくと、どのように給料は変わっていくか、知っていますか?
まるで若手社員の給料…手取り23万円の「部長」「課長」の厳しい現実

肩書は同じ部長や課長でも…

さらに役職ごとの月給の実態を細かくみていきましょう。

 

大卒役職なし会社員の場合、月給の中央値は26万9900円。6割が月給が30万円未満です。

 

【大卒役職なし会社員の月給分布】

20万円未満:8.2%

20万~30万円未満:55.0%

30万~40万円未満:22.1%

40万~50万円未満:7.9%

50万~60万円未満:3.3%

60万~70万円未満:1.5%

70万~80万円未満:0.7%

80万~90万円未満:0.4%

90万~100万円未満:0.2%

100万~120万円未満:0.2%

120万円以上:0.4%

 

厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』より

※金額は所定内給与額

 

続いて大卒係長の場合、月給の中央値は36万6800円で、一番のボリュームゾーンは、月給30万~40万円未満で44.1%。「係長」という肩書をみたら、2分の1程度の確率で大体の月給が当たります。

 

【係長の月給分布】

20万円未満:0.8%

20万~30万円未満:18.7%

30万~40万円未満:44.1%

40万~50万円未満:24.0%

50万~60万円未満:7.1%

60万~70万円未満:2.6%

70万~80万円未満:1.4%

80万~90万円未満:0.7%

90万~100万円未満:0.3%

100万~120万円未満:0.2%

120万円以上:0.2%

 

厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』より

※金額は所定内給与額

 

続いて課長に昇進すると、月給の中央値は50万0800円で、5割が月給50万円を超えています。「会社員人生、いよいよ大台に乗った」という感じでしょうか。

 

【課長の月給分布】

20万円未満:0.2%

20万~30万円未満:6.6%

30万~40万円未満:17.0%

40万~50万円未満:29.0%

50万~60万円未満:21.6%

60万~70万円未満:14.3%

70万~80万円未満:7.9%

80万~90万円未満:2.9%

90万~100万円未満:1.5%

100万~120万円未満:1.3%

120万円以上:0.8%

 

厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』より

※金額は所定内給与額

 

そして部長。月給の中央値は59万43円と、役職なしから係長、係長から課長と昇進したときと比べて上昇幅のインパクトは小さくなりますが、7割が月給50万円を超え、貫禄もたっぷり、といったレベルでしょう。

 

【部長の月給分布】

20万円未満:4.5%

20万~30万円未満:2.6%

30万~40万円未満:8.2%

40万~50万円未満:17.2%

50万~60万円未満:23.0%

60万~70万円未満:17.1%

70万~80万円未満:11.8%

80万~90万円未満:6.8%

90万~100万円未満:3.5%

100万~120万円未満:4.2%

120万円以上:5.1%

 

厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』より

※金額は所定内給与額

 

しかし肩書ごとに月給の分布を見ていくと、気になるのは、肩書がありながらも十分とはいえない月給の人たちが少なからずいるということ。

 

課長、または部長という肩書の会社員のうち14~15人に1人は、月給が30万円未満、手取りにすると23万円程度と、若手社員の給料と変わらない給料で責任ある仕事を任されています。確かに役職があがることにごとに高給取りの割合は増えていきますが、思わず「給料、少ないっ!」と声をあげてしまう、課長や部長も一定数いるのです。

 

もし上司の顔がいつも曇りがちだったら、それは責任だけ押し付けられ、肝心な給料は低いまま、というのが原因かも。そのような会社であれば、努力して給料をあげていく、ということは絶望的なので、次の手を打つ必要があるかもしれません。