日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回、老後資金の大きなウェイトを占める「退職金」に焦点を当てていきます。
会社員「退職金がありません」年金受給、14万円生活にどう備えるか?

「退職金」、いくらもらえる?

厚生労働省『公的年金財政状況報告 令和元(2019)年度』によると、年金受給額の平均は、14万4268円(共済組合等の職域加算部分を除いた老齢・退年相当)。男女別にみると、男性16万4770円(平均加入期間、441ヵ月)、女性10万3159円(平均加入期間、332ヵ月)となっています。

 

この年金額でゆとりある暮らしができるかといえば、人それぞれ。ただ年齢を重ねるごとに医療費はかさみますし、介護だって心配です。そこで会社員や公務員であれば老後資金として「退職金」を当てにしている人も多いでしょう。

 

退職金制度には大きく退職時に一括で退職金を支給する「退職一時金制度」と、年金制度を活用して一定期間、または生涯にわたり給付を行う「退職年金制度」があります。

 

厚生労働省の『就労条件総合調査*』(平成30年)によると、80.5%の企業が退職金給付金(一時金・年金)制度を導入しています。従業員規模別に見ていくと、「従業員30〜99人」企業では77.6%、「従業員100〜299人」企業で84.9%、「従業員300〜999人」企業で91.8%、「従業員1000人以上」企業で92.3%と、企業規模が大きいほうが退職金制度が充実している状況が見てとれます。

 

また退職金給付制度ある企業のうち、「退職一時金制度のみ」の企業が73.3%、「退職金制度のみ」8.6%、「両制度併用」が18.1%となっています。

 

どれくらいの退職金を手にできるかといえば、定年退職の場合、「大学・大学院卒(管理・事務技術職)」で1983万円、「高校卒(管理・事務・技術職)」で1618万円、「高校卒(現業職)」で1159万円。自己都合の場合は、「大学・大学院卒」で1519万円、「高校卒(管理・事務・技術職)」で1079万円、「高校卒(現業職)」で1159万円。

 

企業が人員の削減のために従業員が有利な条件を示すことで従業員が自らの意思でこれに応じ、労働契約の解除をする早期優遇退職の場合は、「大学・大学院卒」で2326万円、「高校卒(管理・事務・技術職)」で2094万円、「高校卒(現業職)」で1459万円となっています。

 

また厚生労働省の外局である中央労働委員会の『令和元年賃金事情等総合調査』で業種別の平均退職金額(大卒で満勤勤続の場合)を見ていくと、業界平均は2289万5000円。トップは「新聞・放送」で3959万6000円となっています。

 

公務員の退職金はどうでしょうか。内閣人事局『国家公務員退職手当実態調査』によると、国家公務員の退職金は常勤職員で2068万円。また総務省『平成31年地方公務員給与の実態』によると、地方公務員の退職金は60歳定年等退職者で2133万円となっています。

 

このように大卒会社員であれば定年退職で2000万円程度の退職金はもらえますし、公務員も同様。これだけの退職金があれば、老後も安心できるのではないでしょうか。