コロナ禍、世界的に「おうち時間」が増加傾向にあります。歴史的には、疫病蔓延などによる巣ごもり期にはベビーブームとなる傾向があるものの、今、アメリカはベビーバスト(出生数激減)の傾向にあるのです。今回はオープンハウスのウェルス・マネジメント事業部が、アメリカで出生率が激減している理由を考察していきます。

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アメリカの「出生数」減少傾向が、コロナ禍で加速

新型コロナウイルスのパンデミックのなか、自宅で過ごす時間が増えました。歴史的には“巣ごもり期”にはベビーブームとなる傾向がありますが、現在の米国はむしろベビーバスト(出生数激減)の傾向にあります。

 

米国の出生率は10年ほど前から減少し続けており、2019年には過去35年間で最低を記録。さらに、ブルッキングス研究所の調査によると、2021年には推定30万人の減少が予想されています。

 

パンデミックの影響で労働市場が混乱し、働く女性に大きな打撃を与えたことが少子化傾向を加速したと考えられます。全米女性法律センターによると、女性の労働人口は過去最低基準の57%に低下しました。

 

学校や保育園が閉鎖されるなか、何百万人もの女性が、育児や仕事、その他の役割をすべて担うことを余儀なくされているのです。

 

さらに、性と生殖に関する健康と権利について研究するガットマッハー研究所によると、経済的コストを削減するために、多くのカップルが出産する子供の数を減らしたいと考えていることが明らかになっています。

 

ブルッキングス研究所のメリッサ・カーニーとフィリップ・レビンは「労働市場が弱くなると総出生率は低下し、労働市場が改善すると出生率は向上する」と記しています。
また、Google Trendsのデータでも、昨年は妊娠に関する用語の検索が減少したという結果が出ています。
 

 

このように米国が出生率の低下に直面する中、政治家は毎月の子供手当や税額控除の選択肢を模索しています。人口増加率は不動産市場への影響の大きい重要な指標なだけに、効果的な打ち手が望まれます。

アメリカのインフレ率が急速に上昇した理由は

米国の4月の消費者物価指数の前年同月比は、4.2%、2008年9月以来の急激な上昇となりました。ダウ・ジョーンズ社の3.6%の予想を上回る結果です。一方で、米連邦準備制度理事会(FRB)の関係者は、今回のインフレ率の上昇は一時的なもので、政策に影響を与える可能性は低いと考えています。

 

労働省は、5月12日、米異国経済の回復とエネルギー物価の上昇を受け、4月のインフレ率は過去12年で最も早く上昇したと発表。エネルギー価格は、全体で前年同月比25%の上昇。ガソリンが49.6%、重油が37.3%です。重要なインフレ指標と見られている中古車・トラック価格は、4月だけで10%の上昇を含む、21%に急上昇しています。

 

2020年の同時期は、パンデミックの影響で米国経済が広範囲で停止。インフレ率が非常に低くなりました。そのため、米連邦準備制度理事会(FRB)や多くの経済学者は、今回の数字は一過性であるとし、今年後半に中央銀行が目標とする2%のインフレ率に落ち着くと予想しています。そして、FRB高官は、インフレ率が長期的に平均して2%前後になるまでは、金利の引き上げや毎月の国債購入額の引き下げは行わないと繰り替えし述べています。

 

価格の高騰は、電子機器に使われる半導体の生産問題や、3月のスエズ運河の閉鎖など、様々な要因で供給が滞っていることに加え、商品の需要が急増していることも要因とされています。

 

不動産市場にも多大な影響を与える金利政策。今後の行方に要注目です。

 

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本記事は、富裕層のためのウェブマガジン「賢者の投資術」(Powerd by OPEN HOUSE)にて公開されたコラムを、GGO編集部にて再編集したものです。