不動産価格の上昇率…主要都市より「地方」が高い理由
さて、オーストラリアの地方都市の価格推移に話を戻すと、驚くべきデータが出ています。[図表1]をご覧ください。
2020年1月〜2021年1月の13ヵ月(まさに新型コロナ禍の真っ只中の期間)における、オーストラリア全体の不動産価格推移は3%の上昇となっています。また、先に述べた国内6主要都市の上昇率は1.7%なのに対して、地方都市の上昇率はなんと7.9%になっています。
このデータから見てとれることは、この期間におけるオーストラリア全体の不動産価格の上昇は地方都市が牽引している、ということです。
新型コロナ禍における特需(過密回避、低金利、その他)という一面もありますが、実は以前から不動産価格は全体的に下降トレンドでした。しかし、地方都市は新型コロナ前にも底堅く推移していたタイミングでコロナ禍になり、一時的に下落したものの、急激に上昇に転じていることがグラフから読み取れます。
地方最大都市の上位に入るゴールドコーストにおいても不動産価格の上昇は顕著で、2020年1月〜2021年1月の価格の推移は戸建で8.9%、集合住宅で7.5%の上昇となっています。
しかし筆者は、新型コロナにおける特需という状況より以前に、ゴールドコーストに元々備わっていた魅力がコロナ禍で再評価され、それが一気に人気を押し上げたと思っています。[図表2]は、筆者がイメージするゴールドコースト不動産の位置付けです。
ゴールドコースト不動産が人気の理由は、「国の安定性」「資産の安定性」、そして自分自身も大切な資産という考えのもと、「質の高いライフスタイルが実現できる場所」が三つの輪として重なる点にあります。
遠回しになりましたが、前述のように「移住」を検討する際のハードルがそう高くなければ、自分の理想とする所に住みたいと思うのは人間の心情ではないでしょうか。ゴールドコーストは今、今回のコロナ禍を通じて、新たな価値観を見出した人たちがどんどん集まってきている場所になりつつあります。
新たなライフスタイルを描いて地方都市に移住する人が増えており、その結果、オーストラリア全体の不動産取引にも影響を及ぼしていると考えられます。
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
■恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ
■47都道府県「NHK受信料不払いランキング」東京・大阪・沖縄がワーストを爆走