主要都市の「不動産価格」はコロナ感染拡大前より上昇
オーストラリアの主要都市おけるコロナ禍の不動産価格は、政府が強制的にとった“一時的に経済を休眠状態にする”という緊急施策の実行中、一時的に下がったものの、その後は上昇に転じました。
そして、2021年1月末時点で、シドニーとメルボルン以外の都市の不動産価格は、新型コロナ発生時より価格が上昇しました(関連記事『オーストラリア不動産が「コロナ禍でも価格上昇」の裏事情』)。
また、コロナの感染拡大の抑制策、政府による景気刺激策、金融緩和の効果もあり、シドニーとメルボルンの2都市間の不動産価格も、数ヵ月で回復することは容易に想像できると予想しました。
そして、不動産調査会社のコアロジック社より発表された2月末時点の過去12ヵ月の価格騰落率は、[図表1]のようにシドニーで2.8%上昇、メルボルンで-1.3%下落、ブリスベンで5%上昇、パースで4.6%上昇、アドレードで7.3%上昇と、メルボルン以外は上昇となりました。
現在も各都市における不動産取引は活発で、今後も上昇基調は続くものと思います。
シドニーの不動産価格は「2009年」を境に高騰
さて、オーストラリアの不動産というと「高い」というイメージをお持ちの方は多いと思います。
特にシドニーの不動産価格は他都市に抜きん出て「もう手が届かない」状況です。具体的には、エントリーレベルで1ベットルームで8,000万円〜1億円くらいで、なおかつ競争も激しいです。
さて、このシドニーの不動産価格は、いつから今のような手が届かない状況になったと思いますか?
シドニーにおいて価格上昇が顕著になってきたのは、2009年ごろからです。実はそれまでは、オーストラリアの三大都市において不動産の中間値に大差はありませんでした。平たく言うと、誰でも買える価格水準でした。
むしろ、2009年当時はリーマンショックがあって不動産市場は調整局面を迎え、とても厳しい状況でした。市場が底をついて反転したことは三大都市においても共通ですが、シドニーとメルボルン、特にシドニーの価格上昇が2009年を境に際立っています。
はたして、2009年に何があったのでしょうか?