家計の金融資産構成において米国やユーロ圏では、日本よりも投資信託や株式の比率が多くなっています。これは日本人が投資を「ギャンブルの一種」だと悪く考えがちなことが影響しているのかもしれません。そもそも投資とギャンブルはどう違うのでしょうか? 本記事では、「投資」と「ギャンブル」の明確な違いについて見ていきます。※本連載は、将来お金に困ることがないように、若いうちからできるライフプランニングに役立つ情報を紹介する「ライフプランnavi」の記事を抜粋、一部改変したものです。

日本人は「投資=ギャンブル」だと悪く考えがち

日本銀行発表のデータ「資金循環の日米欧比較」(https://www.boj.or.jp/statistics/sj/sjhiq.pdf)によると、2018年3月末時点の日本の家計の金融資産構成は、現金・預金が占める割合が最も多く、全体の52.5%です。米国の13.1%、ユーロ圏の33.0%と比べると、その高さが際立ちます。

 

米国やユーロ圏では、日本よりも投資信託や株式の比率が多くなっています。この違いは、日本人が投資をギャンブルの一種だと悪く考えがちなことが影響しているのかもしれません。

 

「投資」という言葉は、「株に投資する」「教育に投資する」といった使われ方がされています。ギャンブルと比較すると、一般的には低リスク、低リターンで、リターンを得るまでに時間かかるといったイメージがあると思います。具体的な投資商品は、株式、投資信託、ゴールド、不動産、国債などが挙げられます。

 

手堅い印象の投資に対し、ギャンブルはゲーム的であり、高リスク、高リターン、リターンを得るまでの期間が短いといった真逆のイメージがあります。ギャンブルで思い浮かぶのは、カジノ、パチンコ、競馬、宝くじなどでしょう。「億り人」という言葉を生んだ仮想通貨も含まれるかもしれません。一獲千金という言葉がぴったりです。

しかし、投資商品でも、企業の業績などを調査せず、短期的な売買で高い利益をあげようとすると、リスクも高くなり、ギャンブルになりえます。 つまり、投資とギャンブルには明確な線引きはありません。投資もその手法によっては十分にギャンブルになりえます。それを踏まえた上で、儲けの仕組みがどう異なるのか確認していきましょう。

「ギャンブル」の還元率は低く、長期的に必ず損をする

株式を例にとって投資の儲けの仕組みを考えます。将来、成長が期待できる企業の株式を購入することで、その配当を得る、値上がりした株式を売却してキャピタルゲインを得るのが投資です。ビジネスが成長すると、中長期的に利益の拡大が期待できます。

 

企業は調達した資金を元手にビジネスを成長させます。つまり、投資家は、企業に出資することにより企業の成長を後押しし、経済の成長に参加することになります。投資は、業績のよい企業の成長によって利益の還元を受けつつ、自分もその経済拡大に参加する行為です。経済が拡大すると、1人あたりに分配される利益が増えます。

 

投資家は、保有する株式数に応じて成長した分の利益の還元が受けられます。ある投資家だけが全ての利益を手にすることはありません。また、株式の売却時に元本割れをすることはあっても、元の資金を全て失ってしまうケースは多くないでしょう。

 

ギャンブルには胴元と言われる運営者の存在があります。胴元がギャンブルの参加者から集めた資金を参加者に還元する比率(還元率)はとても低いです。

 

総務省(http://www.soumu.go.jp/main_content/000084191.pdf)の資料によると、宝くじは45.7%、競馬・競輪などの公営競技は58.5%、サッカーくじは49.6%です。パチンコは事業者により異なりますが、85%程度です。例えば、還元率が50%の宝くじを、1万円ずつ100人が買ったとします。

 

胴元は集めた100万円から50%に当たる50万円を胴元の利益分として差し引き、残りの50万円を当選金に設定します。宝くじの購入者に分配される金額は、元々の半分になっている上、少数の当選者が総取りする形になっています。

 

ギャンブルは、出資者のほとんどが元本割れをし、またゼロになってしまうこともあるゼロサムゲーム(※1)、マイナスサムゲーム(※2)です。還元率が100%を下回る場合、長期的には必ず損をすることが明らかです。

 

※1 ゼロサム…勝った人の利益の合計額が、損をした人の損失合計額と同じ。全体としてプラスマイナスゼロ

※2 マイナスサム…最初に胴元の儲けが差し引かれるため、勝った人の利益の合計額が、参加者が出すお金の総額を下回る

投資は「親の総取り」にはならない

投資とギャンブルは明確に区別できないものの、上記のように違いはあります。投資はギャンブルと比較すると低リスク、低リターンで、リターンを得るまでに時間がかかりますが、長期的には利益が期待できる前提があります。投資先を吟味することで経済の拡大に参加することになり、将来得られる利益に影響を与えられます。

 

また、損失を出しても元手がゼロになることは少なく、確率が全てのギャンブルとは異なります。利益の分配もギャンブルのように総取り形式ではありません。

 

ギャンブルは、現在持っている資産を増やす目的で行うのではなく、一攫千金の夢を見るゲームとして楽しむのが賢明です。宝くじや競馬における胴元の利益は公共事業にも使用されるので、社会のために資金を拠出したという考え方も可能で、自分のリスク許容度を見極めた上で資金を投入する場合、ギャンブルに悪いイメージを持つ必要もないでしょう。

 

投資は社会経済の拡大行為でもあります。資産運用する際は、ギャンブルではなく、社会経済を成長させるという視点で賢く投資しましょう。

 

 

※本連載は、『ライフプランnavi』の記事を抜粋、一部改変したものです。