大手オークションハウスとして知られる「サザビーズ」の不動産仲介部門である「リスト サザビーズ インターナショナル リアルティ」が日本人向けのテキサス不動産販売に参入する。日本人向け×テキサスという分野では後発となるだけに、地域をヒューストンに絞り込み、これまでにないサービスも取り入れる予定だ。その詳細を、リスト サザビーズ インターナショナル リアルティの大橋登シニアマネージャーに伺った。今回のテーマは、「サブリース」である。

日本人投資家のニーズを最も満たすのは・・・

リスト サザビーズ インターナショナル リアルティでは、従来よりハワイ不動産を数多く取り扱っていますが、お客様と接するなかで、アメリカ本土の物件も購入したいというご意見が数多くあり、これまでは個別対応での販売を行っていました。今回の「テキサス州・ヒューストン不動産プロジェクト」の立ち上げは、そうした皆様の声に、より積極的にお応えするものです。

 

ただ、日本国内でもテキサス不動産を取り扱っている会社はすでに多数あり、本プロジェクトは後発となります。後発だからこそ出来ることはないか、と検討を重ねた結果、「5年間のサブリース」が最も日本人投資家のニーズを満たすと考え、現地の不動産業者、管理会社と綿密な協議をした上で、サブリースによる賃料保証システムを採用しました。

 

 

アメリカ不動産を販売している会社は何社もありますが、サブリースを採用しているところはほとんどないと思います。サブリースは、販売会社が一定のリスクを背負って投資家に確定利回りを保証するものなので、販売会社に財務的な体力がないと設定できないのです。

 

また、サブリース設定のない通常の販売では、いわば「売りっぱなし」になりますが、サブリース設定がある場合、その期間中は物件管理、運営を販売会社が継続して行わなければなりません。それ相応の手間や費用がかかるため、アメリカ不動産投資でのサブリース設定はあまり見られないのだと思います。

物件管理・運営を含んだ契約でオーナー負担を軽減

リスト サザビーズ インターナショナル リアルティシニアマネージャー大橋 登氏
リスト サザビーズ インターナショナル リアルティ
シニアマネージャー 大橋 登氏

私たちは2014年、ハワイ・ホノルルの「イリカイホテル」のリノベーションプロジェクトのコンドミニアムの販売170戸中、3割強を日本の方に販売しました。このプロジェクトでは、家賃保証・収入固定のサブリース設定と、サブリースをつけずに投資家がリスクを取って家賃のアップサイドを狙っていける方法の両方から選択できるようになっていました。すると、ほとんどの方がサブリースをつけることを選ばれたのです。それらの方々の購入目的は償却メリットだったため、確実にそのメリットを享受するほうを選んだようです。

 

一般的に、償却メリットを主な目的としてアメリカ不動産を購入されるような資産家の方にとっては、リスクを取ってインカムを狙うよりも、低リスクで確実な収入が得られる、そして面倒な手間がかからないというメリットのほうが大きいでしょう。

 

また、オーナーを悩ませるアメリカならではの事情として、テナントとのトラブルが少なくないということも、サブリースを設定した背景にあります。アメリカは「訴訟社会」ともいわれるように、日本では考えられない頻度で訴訟が起こります。備えつけの家電の故障などのトラブルや、思いも寄らないクレームから訴訟につながることも考えられるのです。もちろん、家賃の遅れといったリスクもゼロではありません。

 

 

今回のサブリース契約には、物件の管理や運営も含まれているため、オーナーの手間がかかりません。仮にテナントの家賃支払いが滞ったとしても、規定通りの賃料を受け取ることができます。支払い賃料は、物件によって異なりますが、利回り3~4%程度で設定しています。これは、現地固定資産税など、すべての経費を控除したあとの純利回りであり、購入者の確定収入です。そのため、毎月決まった金額が振り込まれるので、煩雑になりがちな申告の負担も軽減することができます。

 

利回り3~4%程度と聞くと、人によっては、それほど大きな魅力を感じないかもしれません。しかし実際のところ、サブリースで確定の純利回り3~4%が得られ、さらにキャピタルゲインが期待できるという物件は、日本国内を探してもそうそう見つからないのではないでしょうか。さらに、前回ご説明したような大きな減価償却メリットは、国内不動産投資では、まず享受できません。

 

このサブリースをご利用いただくことで、純利回り3~4%、5年後の売却時に値上がりが期待でき、さらに償却メリットもある「パッケージ化された金融商品」のような感覚で、アメリカ不動産への投資が可能になったといえるのではないでしょうか。

 

ただし一点ご留意いただきたいのは、海外不動産投資である以上「為替リスク」は避けられないということです。そこで気になるのは、どれくらいの為替変動で、どれくらいのリスクが生じるのかですが、この点は第4回で投資シミュレーション表を見ながら解説していきます。

 

取材・文/椎原芳貴 撮影(人物)/永井浩
※本インタビューは、2018年11月19日に収録したものです。

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