土地の評価額は、その土地の状態によって大きく異なってくることがあります。今回は、相続税評価額を下げる方法について見ていきます。

土地の評価額は更地か貸家建付地かで大きく変わる

同じ土地であっても、被相続人がそれを誰にも貸さないままでいたか否かによって評価額は異なることになります。たとえば、相続時に土地が更地の状態であれば一般的に時価の約80%で評価されることになりますが、貸家建付地(貸家の目的とされている宅地)の形で貸地となっていれば時価の約65%になります。

 

時価1億円の土地の場合、誰にも貸さないでいれば8000万円、貸家建付地(アパートやマンション用地)としていれば6500万円で評価されることになるわけです。

 

土地をそのままただもち続けている場合に比べて1500万円(更地評価8000万円-賃家建付地6500万円)も、さらに現預金のままもっていた場合と比べれば何と3500万円も相続税の評価額が低くなるのです。

「小規模宅地」は最大で80%も評価額が減る

このように、相続税評価額の高い資産から低い資産へ組換えを行っていくことによって、相続税を大きく下げることが可能となるわけです。そして、この資産の組換えの選択肢としては、今触れた土地、貸家建付地のほか、建物、貸家、貸宅地(底地)、小規模宅地等の特例適用地が考えられます。

 

それぞれの評価割合と評価の計算方法は左のような形になっています。一つ一つ順に見ていくと、ひときわ目を引くのが「小規模宅地」です。何と、最大で自用地評価から80%も相続時の評価額が減少するのです。

 

評価割合(現金100に対し) 評価の計算        
土地(自用地) 約80% 100×80%※1
貸家建付地   約65% 自用地80×(1-0.6×0.3)※2
建物      60%〜70%程度 100×60%〜70%※3
貸家      約42% 建物60×(1-0.3×100%)※4
貸宅地(底地) 32%  自用地80×(1-0.6)※5
小規模宅地   16% 自用地80×20%※6


※1 土地(自用地)の相続税評価額は、時価(地価公示価格と同水準の価額)の約80%相当で設定されている
※2 自用地×(1-借地権割合×借家権割合)、借地権割合が60%、借家権割合が30%の地域で計算
※3 建物の相続税評価額は固定資産税評価額と同じです。固定資産税評価額は建築費の60〜70%程度と言われている
※4 貸家(建物)の評価=建物の固定資産税評価額×(1-借家権割合(通常30%)×賃貸割合)、固定資産税評価額は建   築費の60%で計算
※5 底地の評価額=自用地価格(更地価)×(1-借地権割合)借地権割合が60%の場合で計算
※6 最大80%の評価減

本連載は、2015年7月30日刊行の書籍『親子で進める二世帯住宅節税』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

親子で進める二世帯住宅節税

親子で進める二世帯住宅節税

斎藤 英一

幻冬舎メディアコンサルティング

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